Sonnox Oxford Dynamic EQが素晴らしいという話

2017.07.07 音系コラム

ミックス屋の心をとらえて離さないプラグインメーカー、Sonnox。
FabfilterやDMG Audioといった超高精度のプラグインメーカーが台頭する昨今では割と目立たない地味なメーカーになってしまいましたが、それでもDynamicsやEQ、SuprEsserの汎用性の高さは光るものを感じます。

そんなSonnoxが新しいプラグインを出しました。それがこのOxford Dynamic EQ。
嘗てOxford SuprEsser普及委員会日本支部を自称し各種SNSや配信で回し者かというほど推しまくった私としては、あのSuprEsserを作ったSonnoxが出すDynamic EQと聞いて黙っていられるわけがない!

……というわけで早速デモってみましたが、やはりSuprEsserを作ったSonnoxのDynamic EQ。最高です。

既存のDynamic EQの使いづらいところ

最近はEQライクな見た目のDynamic EQが増え、より自由度の高いアプローチができるようになった印象はあります。
昨年大ヒットしたiZotopeのNeutronを筆頭に、フリーではTokyo Down RecordsのTDR Novaなど。
WavesもF6 Floating-Band Dynamic EQなるDynamic EQを出しました。……中身はC6でしょうけども。

私のミキシングでは、Dynamic EQの使用頻度はかなり高いです。ギターにもベースにもヴォーカルにも。その他鍵盤や弦にも、必要と感じたらガンガン使っていきます。
持続音系の楽器に対してはEQでカットするよりもDynamic EQでカットする方が圧倒的に多いですね。

そんなわけでほぼ必ず使うプラグインのひとつでもあるDynamic EQ。最近はNeutronから、より動作の軽いTDR Novaに移っていたのですが。既存のDynamic EQにはある共通の不満がありました。

それは、ほとんどのDynamic EQが、直感的に触り操作する箇所がGAINであること。
EQライクな見た目から、EQとしても使える……ということを意識した結果だと思うのですが。個人的にはそれは、かなりデメリットが大きいとも思います。

Dynamic EQの操作はほぼ必ず、3つのステップを踏むことになります。

  • まず、帯域を決めます。大抵の場合、1とか2とか書いてある丸いアレを弄るんじゃないでしょうか。
  • 次にプロセッサーが動作し始める音量を決めます。つまりThresholdですね。
  • 続いてDynamic EQのリダクション量をRatio(もしくはRangeとか、Oxford Dynamic EQではDynamicsってツマミになってますね)で決めます。

アタックとかリリースとかはまぁ、適当に。

……しかし一番最初に弄るパラメータがGAINだとすると、EQではなくDynamic EQとして使おうと考えた時に、一度GAINを0に戻してからThresholdとRatioを弄り直さないといけないというのが大きなデメリットになると思うんですね。
しかも最初にEQとして音に対してアプローチしてしまうので、どうしても視点がEQ寄りになってしまう。これはいけない。

でも、Oxford Dynamic EQは違いました。

個人的に感じた、Oxford Dynamic EQの素晴らしいところ

既存のDynamic EQがGAINを最も重要なパラメータとして扱ってしまったのに対して、Sonnoxはそれを最大リダクション量に設定しました。

それはどういうことかといいますと、大抵の人が一番最初に触るであろう1とか2とか書いてあるあの丸いアレをどれだけ動かしても、Dynamic EQ自体のリダクション量はThresholdとRatioで決めた量を上回らないということ。
考え方はあくまでEQではなくDynamicsなんだと思います。

1とか2とか書いてある以下略を弄ってプロセスする帯域を決めたら、Thresholdの値とRatioの値、ついでにAttackとReleaseも目的に合わせて選ぶだけ。
目的の帯域をどれだけDynamicにリダクションするか、というところを重視している感があって好感が持てます。Staticな音量操作をなるべく遠くに追いやっているGUIも好感が持てますね!(笑

で、出音は?

じゃあSonnox Oxford Dynamic EQを使ったらどんな音が出せるのかっていうのは気になるところでしょうか。まぁ、BeforeとAfterだけ聴いても何の意味もないので自分で試してみてください
試してみて使う価値があると思えばあるのでしょうし、ないと思う人にはないのでしょう。

個人的には、Dynamic EQは中のアルゴリズムが云々とかそういうものはさほど重要ではなくて、使う側の人間がいかにDynamic EQを理解しているかどうかに掛かっていると思うので。
ちゃんと理解している人が使えば、どこのメーカーのDynamic EQを使っても同じような音を出せると思います。あとは使いやすさや動作の軽さ、その他各々の好み次第でしょうか。

昨今のDynamic EQはアナログの代替ではない、デジタルならではのオーディオプロセッシングとして正常進化したひとつの形だと思います。今後、昔の音の模倣ではなく今の音を出すためには必須のツールのひとつになるんじゃないでしょうか。
そんなDynamic EQのOne Of The Bestと呼べるものがついに出たな、というのは嬉しい限りですね。

そういえば言い忘れてたんですが、Oxford Dynamic EQは動作も軽くて最高です。

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