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南アルプス初挑戦:北沢峠から甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳(初日:甲斐駒ヶ岳)

2018年07月22日2023年09月30日登山:日本アルプス

登山情報

GPSログ

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コース情報

標高

3033m

標高差

1073m

累積標高(登り)

2469m

累積標高(下り)

2471m

行動距離

20.74km

行動時間

14時間41分

コース定数

58.82

アクセス

往路、復路ともに:~JR中央本線 甲府駅 > 山梨交通 甲府・広河原線 広河原BS > 南アルプス市営バス 北沢峠BS
登山を嗜む人なら誰もが一度は憧れる数字、それが「3000m」。 所詮は人間が勝手に決めた数字、そこには本来何の境目もないのですが。キリの良いその数字を、私のような初心者はどうしても意識してしまうんですね。

そんなわけで梅雨前線も去り、夏山シーズンの到来した7月の連休に、以前から狙いを定めていた北沢峠からの仙丈ヶ岳登山へと挑んでまいりました。

甲府駅〜北沢峠

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実は仙丈ヶ岳、去年も登るプランを立ててはいたのですが。直前に台風が来て敢え無く断念、唐松岳へと予定変更しています。
その時の未練なのか、初めての3000m峰は仙丈ヶ岳、という思いは結構強かったです。

……さて。そんな前書きで書き始めておきながら、今回の山日記は仙丈ヶ岳ではなくお隣の甲斐駒ヶ岳。
どちらもベースキャンプとなる北沢峠から登ることのできる山で、条件が揃えば一泊二日で二座を堪能することができます。

よくセットで登ることを勧められるこの二つの山ですが。
登山口のある北沢峠からはどちらも標高差約1000m。一泊二日で二座登るには早朝に北沢峠へ到達する必要があり、条件としてはやや厳しい印象です。
今回は甲府駅から北沢峠へとバスで向かうルートを選択しましたが、終電で駅に着いた時には既に並び始めている人がちらほら。
駅寝……つまり野宿する人もかなり多く、確実に始発のバスに乗ろうと思ったら、3時台のうちに並んでおいた方が良いのかもしれません。

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私はビジネスホテルで仮眠して4時過ぎに並びましたが、始発のバスにはギリギリ。広河原までの2時間は立ちっぱなしでしたし、もう少し人が多かったら次の便を待つことになっていたかもしれません。
この座席取りレースは、盆と暮れの漫画の祭典を思い出させます。

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そんなこんなで北沢峠。ここに着いてからも激戦区でした。
テント場は既に埋まりつつあり、辛うじて残っていた隅のスペースに設営。そうしている間にも次々にテントは増えていき、ふたつの百名山の人気の高さを痛感させられます。

北沢峠〜仙水峠

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設営を終えたらすぐに出発。小屋の脇にある登山口から、仙水小屋を経由するルートで甲斐駒ヶ岳を目指します。
北沢峠の標高は2032m、甲斐駒ヶ岳の標高は3000mに僅かに届かない2967m。標高差約900mを約4.5kmの中で登ることになります。

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序盤のなだらかな樹林帯歩きを経て仙水小屋へ。特に用はないので仙水小屋はスルーです。
そして暫く歩いて行くと、急に視界が開けます。

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仙水峠手前のガレ場。松の木も背が低く、標高2200mでありながらまるで森林限界のよう。
シャクナゲが咲いているのも個人的には高地の雰囲気を感じます。
後から知ったんですがここ、サントリーのCMで宇多田ヒカルさんが歩いた場所なんですね。

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ごろごろした岩の上を歩きながら、仙水峠を目指します。

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仙水峠にたどり着くと、雲の切れ間から顔を覗かせる雄々しい山の姿が。
地図を見なくともすぐにわかります、あれが甲斐駒ヶ岳。
今日私が登る山だ……!

仙水峠〜六合目

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仙水峠から先は再び樹林帯に入ります。
そしてここからが南アルプスの貴公子とも言われる、甲斐駒ヶ岳の男性的な山体に相応しい急登のスタートでもあり。
岩交じりの斜面は確かに容赦がありません。前週の男体山チャレンジで身体を覚まさせていなかったら、これはなかなか厳しかったかも?

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登っていくと次第に木々の背が低くなり、植生の変化を感じます。
待望の森林限界まであともう一踏ん張り、のガレ場歩き。

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今まで樹林帯から森林限界に抜けるという山行の経験があまりないもので、甲斐駒ヶ岳の登りは新鮮に感じました。
金峰山や日光白根山は「ある一定のラインを超えたら急に木々の背が低くなる」という印象でしたが、甲斐駒ヶ岳はハイマツが姿を現してからも暫くはダケカンバなどの木々が立ち並びます。低山とは全く違う雰囲気ながら、稜線歩きともまた違った光景。
なるほど、こういう道もあるんですね。

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そんなわけで登りに登って六合目。このあたりでようやく森林限界を超えた感触がありました。
もっと低いところから植生は明らかに変わっていましたが、こういった景色を見てようやく高い山に登っているのだという実感が湧きますね。
……って、既に標高2750mですか。

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六合目は広くて、なかなか景色も良く、休憩には丁度いいポイント。
一息ついたり写真撮ったり、気がつけば20分くらい休んじゃったりして。

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こんな景色を見てしまったら……ねぇ。
後方には憧れの仙丈ケ岳。前方には今まさに登らんとしている甲斐駒ケ岳。
いよいよ南アルプスの名峰に近づきつつある、それを実感しますね。

六合目〜甲斐駒ヶ岳山頂

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さて、一息ついてここからはご褒美の稜線歩き……と思いきや。
甲斐駒ケ岳の登りはここからが本命だ!

稜線に出てからは、岩場も交えてのアップダウンが主体。
難しい道ではないですが、人が多く、下山組とのすれ違いで混雑します。

このあたりで六合目で軽く挨拶したお兄さんと、成り行きで一緒に山頂を目指すことに。
私の岩場歩きが怪しげだったからでしょうか……?(笑
同じロープロのTLZユーザーということで、山カメラ談義に花を咲かせつつ甲斐駒ヶ岳の稜線を歩きます。

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登って降りての繰り返しで八合目。
このあたり、あまり標高を上げている感覚がないですね。

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山頂の方を見てみれば、こんな感じ。
八割ほど登ったはずなのに、まだ山頂があんなに遠く。

そして八合目付近には、直登ルートと巻き道ルートの分岐点があります。
直登の方は結構険しいと聞いていたので、私は落ち着いて行けそうな巻き道ルートを選択。
直登ルートを登るにはヘルメットがあった方がいい、という話も聞くくらいです。

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ダケカンバの生い茂る巻き道をしばらく進んでいくと、今度はザレ場に。
甲斐駒ケ岳の山頂付近は花崗岩が剥き出しになっており、その表面がゆっくり時間を掛けて削られ砂になっているようですね。
かつて花崗岩だった砂をざくざくと踏みしめながら、山頂へと登っていきます。

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砂が割と深いため滑りやすいのですが、落ち着いて踏みしめながら歩けば問題はなかったですね。
下山の時に怖いかな、とも思っていたのですが問題ありませんでした。
直登ルートを登ってきたらしき人達が、こっちから登らなくて正解だった……と呟くのを何度か耳にしましたが、見た目ほど難しい道ではないような気がします。

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ザレた登りを越えれば……いよいよ今日の最高地点、甲斐駒ケ岳の山頂が待っています。

甲斐駒ヶ岳山頂〜北沢峠

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というわけで甲斐駒ヶ岳に登頂。
コースタイムよりやや遅いかな?約4時間の山行でした。

昨年の木曽駒ヶ岳(2956m)を超えて、私の山歩きの中での標高No.1の記録を更新した瞬間です。
そういえば、ロープウェイを使わずにここまでの高さに来たのは初めて。まだまだ素人の私には、なかなかハードなコースでした。

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やや雲も混じってはいましたが、山頂からは北岳や間ノ岳、鳳凰三山など日本アルプスの名峰が見渡せます。

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キツく感じたこれまでの道も、こうして振り返ってみると美しく見える。
この光景は高山ならではですね。

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山頂では蝶がお出迎え。
こんな高い所にもいるんですね。

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六合目からご一緒したお兄さんと、途中で汲んだ湧き水で乾杯。
やっぱり寝不足で登るのはキツいねーなどと話したり、TLZの使い心地を情報共有したり。
都会で会っても見ず知らずの人ともこうやって、共通の話題で盛り上がれるのは山ならではという気がします。

暑さと登りで予想以上に消耗していたので、少し長めの休憩をとってから甲斐駒ヶ岳の山頂を発ちます。

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下山ルートも巻き道を使い、六合目までピストンで降りていきます。
ザレ場は砂に足を取られないよう慎重に。落ち着いて歩けば怖い道ではないですね。

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途中で高山植物も撮ってみたりして。
まだまだ全然、名前とかはわかりませんねー。

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八合目から六合目の稜線歩き。
往路では激しく感じたアップダウンですが、復路では思ったよりキツく感じない。
下山時には登り返しとなる道なのですが、休憩を挟んだからか、意外と足取りも軽く。

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六合目付近で一旦立ち止まり、先程まで滞在していた甲斐駒ヶ岳を振り返ってみたり。
こうして見るとため息が漏れそうなほど、雄々しくて綺麗です。

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このタイミングで一瞬、きれいに甲斐駒ヶ岳から雲が消えました。
南アルプスは昼を過ぎたらガスが出始めると聞いていましたが、運が良かったんでしょうか。見事な晴れっぷりです。

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いつか行きたい北岳と間ノ岳もこんなにはっきりと。

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鳳凰三山の横にはこの日初めて、富士山が顔を見せてくれました。

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思わぬシャッターチャンスに再びカメラを取り出して、雲ひとつ纏わぬ甲斐駒ヶ岳の姿を写してから下山します。

六合目からの下山ルートは大きく二手に分かれます。
ひとつは往路で使用した、仙水峠を経由するルート。もうひとつは南西の方角にある双児山を経由して、北沢峠へと真っ直ぐ下るルート。
どちらを歩こうか、という話になりましたが、双児山を経由するルートは水場もなく、登り返しもあるので大変そう。時間も遅くなっていたので、早めに標高を下げられそうな仙水峠ルートを選択することに。

ピストンになったのであまり写真を撮ることもなく下山。
西日に照らされて完全に逆光になるので、カメラの出番はないですね……。

途中の沢で軽く汗を流したりしつつ、日も暮れるかという頃に長衛小屋に到着。
時刻は18時20分、朝から歩いて実に9時間半の山行になりました。
以前の瑞牆山でも感じましたが、テント泊初日はやや行動が遅くなる気がしますね。
前泊はしましたが、睡眠時間が足りてないのかなーという印象です。

そんなわけで小屋付近でお兄さんと別れを告げ、夕食用の水を補給してテントに戻りました。
すぐに暗くなるので急いで夕食を取り、今回の山行の本命である明日の仙丈ケ岳に備えて寝袋に入ります。

3度目のテント泊

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雲取山、瑞牆山&金峰山に続いて三度目のテント泊。
そろそろ山メシにも挑戦だ、と思ってα米にレトルトカレーと洒落込んでみましたが、結果は……あまり良くなかったです(笑

表記通りの時間でα米を戻してしまい、ちょっとパサついた感じに。
加えてジェットボイルで湯煎したところ、火力が強すぎて吹き零れてしまいました。
食べる分には問題なかったのですが、ちょっと硬めのα米はさすがに美味しくないですね……。

そして夜は星撮り……のつもりが。
昼はこれでもかと言わんばかりに晴れていましたが、日が暮れると雲が多くなり断念。
テント場は両側を木々に囲まれていて、きれいに星を撮るようなロケーションではなかったですね。
工夫すれば撮れなくもないのですが、翌日も早いので無理せず寝ることに。

そんな感じで初日は下山後、時間に追われてバタバタしてしまいましたが。
翌日はいよいよ初の3000m峰、仙丈ケ岳へと挑みます!

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