Soundtrack Of The Fairy Taleライナーノーツ

2016.08.27 雑記

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あらためて、コミケお疲れさまでした!(遅い
コミケが終わってからは台風などの影響もあって、すっかりインドアです。夏の間にもうひと山登っておきたいとは思っているのですが、さすがに天気が不安定な状態では登れません。

というわけで今日は新譜”Soundtrack Of The Fairy Tale”のライナーノーツっぽいものを書いてみようと思います。いつも収録する楽曲に対して色々と思い入れはあるのですが、今回は特に「私が何を考えて作ったか?」というところに触れておいた方が音源を楽しみやすくなるかな、とも思いまして。

さて、それでは書いていってしまいましょう。

01. Opening : Fairy Tale Main Theme

 ラテン系パーカッションを土台に「封印されし神々」のシーケンス的なフレーズをピアノとマリンバでなぞりつつ、そこにストリングスで「妖々夢 ~ Snow or Cherrypetal」のフレーズを重ねていく展開。少しミステリアスな雰囲気を出したかった曲で、ほんの少しだけエキゾチックな雰囲気+そこからスケールが広がっていく感じが欲しくてこの楽器構成に。
 東方の二次創作のお話を作るなら、やっぱりオープニングはこのフレーズじゃないとね。

 前半は比較的クローズドな空間で鳴らしたかったのだけど、ストリングスが入る後半からの広さとのギャップを作りたくなくて結構悩みました。色々なリバーブを組み合わせて、二つの空間を馴染ませつつ別の空間として演出するっていうのを狙ってます。

原曲:封印されし神々 / 東方風神録、妖々夢 ~ Snow or Cherrypetal / 東方妖々夢

02. Little Hero

 個人的には今回のお話の主人公的なポジション、チルノの曲。イントロのワンフレーズをモチーフとして1曲まるっと引っ張って1つの曲にするっていう構想自体はかなり前からあったのだけど、今回ようやく形になりました。それ以外の部分はオリジナル……と言ってしまえばその通りなのだけど、基本的にはイントロのフレーズを(形を変えて)メインのモチーフに使っています。
 静と動の落差が極端な楽曲で、場面転換の多いシーンのイメージですね。アクションパートもありつつシリアスなシーンもちょくちょく挟む、みたいな。チルノのイメージからするとあまりにもシリアスだけど、これはこれでいいかなぁと。きっと彼女にとってはとても真剣なシーンなんだと思います。

 とにかく今回のこの手の楽曲で共通して言えるのは、複数パターンのリズム楽器構成が何の前触れもなく、容赦なく入れ替わっていく点。リズムパートの配置は楽曲のバランスに対して支配的なので、すごく神経を使っています。

原曲:おてんば恋娘 / 東方紅魔郷

03. Scarlet Devil Mansion Chase

 「亡き王女の為のセプテット」といえば東方屈指のキラーチューン、Aメロから徐々にテンションを上げていってあのサビに繋がるZUNさん節のような展開が特徴ですが、それを全部振り払ってあのイントロリフフレーズだけで構成する。正直に白状すると、PHOENIX ProjectのゆうさんとSEPIA-SISのJOYH-TVさんによるCD「Up to Death」というCDに収録されているセプテットのアレンジが元ネタです。

 さて、こちらの楽曲もひたすらリフで引っ張り続ける展開。途中の起伏はそれぞれ場面の変化でしょうか。題名にChaseと付けただけあって、もちろんチェイスシーンを思い浮かべつつ作ってます。レミリアと……えっ、フェラーリに乗ったニコラスケイジが!?なんでお前どんな配役でもチェイスシーンになると素が出るんだよ!(突っ込むべき場所はそこではない

原曲:亡き王女の為のセプテット / 東方紅魔郷

04. Interlude : Kirisame Magic Shop

 チルノの視点から見た時に魔理沙といえば、あの飄々とした感じでうまく躱されてしまう憎くて憎めないキャラ……というイメージがあります。真剣勝負のつもりで挑んで勝っても実は全然本気じゃなくて……みたいな。そんなキャラクターが今回のお話に登場するなら、主人公と密接に関わる重要なキャラよりも「脇役なんだけどすごくインパクトのあるポジション」かなぁと思いまして、霧雨魔法店の店主という位置に収まってもらうことにしました。
 映画を意識したサウンドで魔理沙なら、こんな感じでブルージィでカラッとした歪みのロックンロールが似合うだろうなと。元々Frozen Frogでも似たような雰囲気の曲でしたが、今の私が改めて同じテーマで挑んだらこうなるだろうなぁ、と。

原曲:恋色マスタースパーク / 東方永夜抄

05. Mad Hermit

 アクションシーン以外でギターを全面に出せるシーンといえば、いかにもな感じの悪役がなんか企んでたり悪事を働いていたり、そんな場面かなぁと思いながら作った曲。青娥さんには申し訳ないのですが悪役っぽいポジションになってもらいました。
 いざ作ってみると不思議と、こういうミドルテンポのヘヴィでグルーヴィな感じのメタルアレンジが合う曲だったんだなぁ……とびっくり。正直、こういうネタはいつものギターインストを作る時のために取っておきたかったなぁという気もします(笑

原曲:古きユアンシェン / 東方神霊廟

06. Interlude : Countdown To Freeze

 アクションはなくとも緊張感のあるシーンをイメージして。リズムとSEをガチャガチャ鳴らして緊迫感を出しつつ、主張し過ぎない程度に東方のメインフレーズで味付けしています。
 Interludeということで少し尺は短めに。いつもの感じでAメロ、Bメロ、サビと展開して尺を稼ぐことはできるのですが、今回はそういうのは意図的に避けました。この曲は特に(尺合わせはしていませんが)劇伴チックな構成を意識してますね。

原曲:赤より紅い夢 / 東方紅魔郷

07. Dogfight In Hell

 元々は企画「閻魔日和」に提供させて頂いた曲。今回はそれをリメイクして収録しています。アレンジの依頼を頂いた時に太陽信仰と東方裁判を混ぜたアレンジということで、共通点である地獄と飛行(と言っても東方キャラはみんな空飛びますが)をキーワードに、二人がドッグファイトを繰り広げるシーンをイメージして作っています。イントロフレーズはこっそり業火マントルから拝借。
 イントロで邂逅、空戦を仕掛けつつ次のブレイクで何か掛け合いがあって、そこから地上に降りて戦闘。映姫さま優位の場面から再び空戦が始まって最後は互角な感じでシーンが終わる……みたいな展開だと面白いかな、とか個人的に思い浮かべたりして。

原曲:霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion / 東方地霊殿、六十年目の東方裁判 ~ Fate of Sixty Years / 東方花映塚

08. Heartbeat

 原曲から心音とインダストリアルな感じのビートが印象的な曲で、今回はそのイメージを引き継ぎつつ自分なりにHR/HMのテイストを加えてみました。ラストダンジョンに向かう前、決戦に赴く主人公達の心境……みたいな感じでしょうか。
 他の曲でもそうなのですが、ブレイクビーツやインダストリアル系の音色が鳴っている場面、生系のドラムが鳴っている場面、そしてエピック系のドラムだけが鳴っている場面……と全て異なる空間をイメージしてミックスしています。この曲ではサビだけ生系のドラムを鳴らしていて、サビに切り替わった瞬間に空間が開けるような効果を狙っています。

原曲:法界の火 / 東方星蓮船

09. Ruler Of The World

 このアルバムにおけるラスボス的な存在ということで八雲一家からチョイス。とにかくスケールのでかさと緊迫感、アグレッシヴさを出せるようにアレンジしています。起承転結がはっきりした展開で、映画で言えばラストシーンみたいな感じですね。
 アレンジでは……特にブレイクビーツ系のドラムが入ってからのリフフレーズ。普通に作っていると案外平坦で、短い中に起伏を付けることに悩まされたのを覚えています。

原曲:少女幻葬 ~ Necro-Fantasy / 東方妖々夢

10. Ending : Eastern Dream

 映画で言えばエンディング、スタッフロール。
 個人的にチルノが主人公のイメージだったので、エンディングには紅魔郷から持ってくるのが一番かなと。そして映画っぽくメインテーマも混ぜてスタッフロールっぽい感じに仕上げています。

 1曲目のOpening : Fairy Tale Main Themeもそうなんですが、こういう曲をCROW’SCLAWとして出すのは結構勇気が要ります。ギターがまったく出てこない曲が受け入れてもらえる自信はありませんし、自分としてもギターにまったく頼れない楽曲を作るのは苦手。広い意味でのロックですらなく前例がないので、これは本当にウチの名義で出してよいものか……と。
 ……まぁ、ここまで来るとどんな音楽性の変化も怖くないですが!

原曲:紅楼 〜 Eastern Dream / 東方紅魔郷

おわりに

 こんな感じで、今回は自分にとっての二次創作の根底にできる限り近付いてみた作品です。
 音を使って二次創作を作る。既にメロディーとコード進行は揃っていますから、鳴らす楽器を変えればいくらでも作れます。が、それは果たして本当に二次創作なのかな、と。
 漫画も小説も同人誌にはストーリーがあります。音楽でもそのストーリーを、言葉を使わずに表現できるのではないかなと。それは「インスト主体」の「音系同人サークル」として私が個人的に超えてみたい、超えなければならない最後のハードルでした。なかなか高いハードルでしたが、個人的には今の自分に出来る限りのことをして、うまく跳ぶことができたかなと思っています。

 次にいつ作ることができるかわからないくらい厄介な作風ではありますが。いつか音楽面で成長できた時に、また改めて同じテーマに挑めたらなぁと思っています。その時はまたお付き合い頂ければ幸い。

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