公共交通機関で登る、関東お勧め日帰り低山リスト(初級者向け)
2019年06月29日2023年09月30日登山コラム
装備も、登山用の靴と雨具は持っておきたいですね。
日帰りなので天気予報さえしっかり見ておけば本格的な雨具でなくても、ある程度撥水性のあるウィンドシェルでも代用はできそうです。
そして冬は凍結や、場合によっては積雪もありそうな場所なので、チェーンスパイクあたりはお守りとして持っておきたいところ。ただ、今回は無雪期で想定しています。
そんな感じで初心者から初級者にステップアップした人が登るのにちょうどよさそうな山をチョイスしてみました。
コース定数とは
今回はコース定数(或いはルート定数)なるものを載せてみます。
コース定数とは「1.8 * 行動時間(h) + 0.3 * 歩行距離(km) + 10.0 * 登りの累積標高差 + 0.6 * 下りの標高差(km)」という計算式によって算出される、体力的な意味での山の難易度のようなもの。
行動時間を見るのでペースによって数値にブレがあるので、あくまで参考程度のものですが。その山に登るのにどの程度体力が必要か、というのは見えてくると思います。
個人的には、17くらいまでは半日くらいで歩ける軽めのハイキング。18〜24くらいは1日じっくり歩けるハイキング。25を超えるとがっつり歩くなぁという感じ。30を超えるとちょっと覚悟が要る(笑
自分が今までに登った山と比較してみて、色々と予定を組む参考にできるんじゃないかと思います。
奥多摩
南高尾山稜
元ホームマウンテンとして、ここを挙げずにはいられない。
観光地な高尾山とはかなり印象の異なる、里山感溢れる山々を縦走します。
終盤にある、丹沢の山々を見渡せる絶景ポイントがお勧め。とは言ってもコースの大半は地味なので、どちらかというとトレーニング向けの山ではありますね。
ピークが高尾山なので標高差はたったの約400m。ただし行動距離は15km近くあります。
コース定数は南高尾山稜〜高尾山を歩いて21程度。小仏城山を経由するともう少し体力の要る山歩きになってきます。
https://www.crowsclaw.info/archives/916
御岳山〜大岳山
奥多摩の中では比較的登るのが容易な山ですが、道の雰囲気がころころと変わるのが歩いていて楽しい。
御岳山からのピストンが定番かと思いますが、体力に自信があれば鋸山経由で奥多摩駅へ抜けるのもお勧め。
夏以外はいつ行っても良さそうですが、ロックガーデンが映える新緑の時期が個人的には好きです。
ケーブルカーで御岳山駅まで登った場合で考えて、ロックガーデン経由で標高差は約500m。ピストンでも奥多摩駅に抜けても距離は約12kmです。
ただし鋸山方面は痩せ尾根や鎖場があるので、高所が苦手だとちょっとハードルは上がるかも。
コース定数はロープウェイを使って21〜23程度。奥多摩の山の中では優しい方かも?
https://www.crowsclaw.info/archives/1242
川苔山
名瀑、百尋ノ滝で有名な奥多摩北部の山。
初心者向けのハイキングコースとして紹介されることも多い川苔山ですが、変化に乏しい急登や事故の多い岩場など、奥多摩の低山ゆえの厳しさも持ち合わせている山だと個人的には思います。
下山ルートはいくつかありますが、赤杭尾根経由では盛り上がりに欠け、本仁田山経由は終盤に長い距離と激しい登り返しが待っているので、鳩ノ巣駅へ降りるルートをお勧めします。
滝というアトラクションがあるので春も秋も味わい深い山ですが、個人的には紅葉よりも新緑を楽しみたい山という印象。
標高差は約1000m、登りだけで見ると900mくらいです。
行動距離も鳩ノ巣駅側に降りるルートや赤杭尾根経由のルートで約13kmとそこそこの長さですが、これが本仁田山経由になると17kmまで膨れ上がります。
コース定数は鳩ノ巣駅方面に降りると24程度、本仁田山経由では35近く。コース次第でかなり変わってきます。
https://www.crowsclaw.info/archives/2464
鷹ノ巣山
奥多摩の山々のミドル級チャンピオン、鷹ノ巣山。
数の定まらない奥多摩三大急登の中で、必ず筆頭に挙げられるのがこの鷹ノ巣山を稲村岩尾根から登るルートです。
容赦ない斜度の登りももちろんですが、石尾根ルートで奥多摩駅に下る場合の高低差と距離もこれまたハード。
個人的にはこのコースで歩けたら脱初級者、みたいな感覚。
カテゴリ的には奥多摩の低山の範疇に入るので、夏は絶対に止めておいた方がいい山です。私はいつも晩秋に登ってますね……。
秋は日が暮れるのが早いですが、ある程度涼しくなってからの方が上りやすいはず。
標高差は1400m、登りだけで見ると1100mほど。行動距離は14km、こうして数字だけ見るとなんかそこまでキツくなさそうに見えますね……(何
こちらもコース定数はルートによって多少変わってきますが、石尾根ルートで28〜32くらい。しっかり体力をつけてから登りたいですね。
https://www.crowsclaw.info/archives/2518
浅間嶺
奥多摩で一番好きな山はどこか、と訊かれたら多分この山を選ぶと思います。
地味ですが、紅葉を見ながらのんびり歩ける良い山です。きれいなのは麓の方なので、秋の終わり頃に登ってみるのが良いかと。
そして下山したら数馬の湯に寄って、温泉と秋の味覚を楽しんで帰ってくださいね。
標高差は約600mで、しかも下りは300mちょっと。全体的に穏やかな山でとても歩きやすいです。行動距離は12kmほど、いきなり登るにはちょっと長いですが、少し歩き慣れてみたら挑戦してみても良さそうです。
コース定数は払沢の滝の観光も含めて21〜25、キツい登りもないので脱初心者にぴったり。
https://www.crowsclaw.info/archives/1845
丹沢
高松山
河津桜で有名な公園へと下山できる丹沢の山。行くならもちろん冬の終わり頃でしょう。西丹沢なのであまりヒルのことは気にしなくて良さそうですが、それよりも花の旬を逃さないようにしたいですね。
標高差は750mほど、行動距離は約12km。険しい登りもほとんどなく、今回ご紹介する山の中では比較的易しめだと思います。
コース定数はちょうど20くらい。最後の花見まで体力を残しておきたいところです。
https://www.crowsclaw.info/archives/2797
塔ノ岳
奥多摩の鷹ノ巣山のライバル的なポジション、それが丹沢の塔ノ岳。
ヤビツ峠から表尾根経由で登ると標高差は700m程度ですが、何度も登り返しては偽ピークを超えていくので精神的なキツさはこちらの方が上回るかも?
そして帰りはバカ尾根で標高差1200mほど。最終的な行動距離は14kmほどですが、個人的には鷹ノ巣山と同じかそれ以上に体力の試される山かなと思います。
表尾根から登ってバカ尾根を下るルートで、コース定数は25。鍋割山を経由すると31になります。
ちなみに表尾根は下りの鎖場があったり、冬の間は斜面が凍結してることもあったりするので、そういった意味でも難易度はやや高めかと思います。
https://www.crowsclaw.info/archives/1957
檜洞丸
丹沢で一番好きな山といったら、西丹沢の檜洞丸かなぁ。
ツツジで有名な山なので、桜も終わった頃の春に行くのが良いですね。
塔ノ岳もそうなのですが、丹沢の山は標高の割に高度感があるのが特徴的。奥多摩のようにひたすら樹林帯を歩くわけではなく、時折空を仰いだり、海を眺めたりしながら登れるのも丹沢の魅力かと思います。
檜洞丸はゴーラ沢出合経由のピストンでもいいのですが、ちょっと難易度の高い犬越路ルートで下山するのが楽しいです。
こちらのコースは痩せ気味の尾根道を長く歩くことになるのですが、景色はかなり良いです。
標高差は約1000m、行動距離は約13km。ピストンで歩けば行動距離は結構縮まりそうなので、早めに降りて温泉に寄って帰るのも手ですね。
ゴーラ沢出合から登り、犬越路経由で下山してコース定数は28程度。数字だけ見ると塔ノ岳以上ですね。
https://www.crowsclaw.info/archives/2197
奥武蔵・秩父
伊豆ヶ岳
今回ご紹介する山の中で唯一鎖場らしい鎖場のある山。山頂手前の分岐で男坂を選べば、全長約50mの長い鎖場が待っています。
難易度はさほど高くないと思いますが、長い登りなので慣れない人は女坂から登るのが良いかと。
5月頃に正丸峠から登ると、新緑の尾根歩きを長く楽しめるのでお勧めです。
正丸駅に戻るルートだと距離も長くないので優しめですが、吾野駅に抜けるコースはアップダウンも激しく、距離も約15kmとなかなかのロングコースになってきます。
正丸峠を経由して登り、吾野駅に降りるルートでコース定数は25くらい。奥武蔵の中では歩きごたえのある山ですね。
https://www.crowsclaw.info/archives/1266
大持山〜武甲山
秩父方面では筆頭クラスのメジャーな山ですが、公共交通機関でのアクセスがあまり良くないのが難点。そんな武甲山にバスと電車だけで登るルートがあったりします。
名郷BSから大持山経由で武甲山へ登り、浦山口駅へと抜けるCT約7時間、行動距離約15kmのロングコース。
距離もさることながら、登りという登りが悉く急登なのも手強いルートです。
ツツジが有名で、春の連休あたりのタイミングが良さそうです。
名郷BSから登って浦山口駅へと抜けて、コース定数は約27。
そこそこ早く歩いて、コースタイムを2時間ほど巻いてこの数値。普通のペースだと30近い数字になるんじゃないかと思います。
https://www.crowsclaw.info/archives/2927
両神山
奥秩父方面を除けば、秩父のラスボス級の山と言えるのが両神山。
鎖場ラッシュの八丁尾根が有名ですが、公共交通機関でのアクセスが難しいので日向大谷口からのピストンをご紹介。
こちらは標高差こそ1000mほどありますが、行動距離は11km程度と控えめ。それなりに歩き慣れていれば日帰りも視野に入るレベルです。
ちょっと暑いですが、シャクナゲの咲く初夏の時期に登れると気持ちいいですよ。
日向大谷口からのピストンでコース定数は26。ボリュームはそこそこ、一般的なペースなら終バスにも間に合うかと思います。
https://www.crowsclaw.info/archives/2169
秀麗富嶽十二景
滝子山
アクセスの良い山の多い秀麗富嶽十二景の中ではやや距離が長く、標高差もあるのが滝子山。笹子駅から一般道を走る歩いて登山口に向かうのがメジャーなアクセス方法ですが、新宿から高速バスを使うと比較的登山口の近くにアクセスできます。
いくつかルートがありますが、滝子山といえばまずは滝を見ながら登る道証地蔵ルートがお勧め。
標高差1000mで行動距離も13〜15kmほど。ですがこちらのルートはキツい登りもなく、標高差を感じずにのんびり歩くことができます。
山頂手前の沢の水の透明感が印象に残る山、こちらも山頂のツツジがきれいなので春のうちに登りたい山ですね。
高速バスを使ったショートカットルートでコース定数は23。駅から歩くと25くらいでしょうか?
https://www.crowsclaw.info/archives/2242
奥秩父
石丸峠〜牛ノ寝通り〜小菅の湯
初心者向けでもお勧めした大菩薩嶺の、ほんのちょっと手前側から奥多摩(正確には丹波村)まで一気に降りる道。登山と言いつつ登りよりも下りの方がメインという珍しいコースです。
このあたりは紅葉が非常にきれいで、山では珍しく鮮やかな赤い紅葉が見られます。知る人ぞ知る、といった感じでさほど人も多くないので混雑が嫌な人にもお勧め。
標高差は1200mもありますが、ほとんど下りです。最初に300mほど登ったら、あとはずっと下り続けるという。
行動距離も12kmほどあり、そこそこボリューミーな登山なのですが。下りがメインだからなのか、あまりそれを感じさせない道ですね。
行動距離や標高差はそこそこありますが、コース定数は20。下りメインなので、あまり体力的にはキツくない山といえるかも。
https://www.crowsclaw.info/archives/2490
北関東
男体山
都心から公共交通機関のみで、朝出発で日帰りで森林限界を超えに行こうと思ったらほぼ唯一の選択肢になるのが日光の男体山。
お隣の日光白根山も(それなりに足が早ければ)日帰りは可能ですが、こちらの方が山を楽しむという意味では焦らずに登れるので良いでしょう。
標高差1200mの道をピストンする容赦のなさと、途中で押し寄せるガレ気味の岩の数々がなかなか手強いですが、行動距離は約8kmとコンパクトです。
男体山は登拝可能な時期が決まっているので、登るならその期間に。山開きが5月の連休後半あたりにありますが、その時期はまだ雪が残っていることもあるのだとか。
如何せん山頂は標高約2500km、ここまでくると低山とは呼べませんので、季節によっては山頂付近はそれなりに寒さを感じます。防寒装備はお忘れなく。特に手袋は忘れると危険です。
コース定数は24〜25。易しそうに見えますが、塔ノ岳の半分ほどの行動距離でありながら同じくらいの体力を要求されると見るべきでしょう!
https://www.crowsclaw.info/archives/1279
半月山〜社山
こちらは男体山を眺めながらの稜線歩きが楽しい山。最高地点が標高約1800mなので、男体山と比べると低山らしい低山と言えるでしょう。
標高差は500mちょっとですが、半月山から登った場合は社山への登り返しがキツく、累積標高は大持山〜武甲山とほぼ同程度の1200m。行動距離も約15kmと長丁場の登山になります。
茶ノ木平登山口を使わずに半月山方面へのバスを使ったり、阿世潟側から往復したりすると多少キツさは和らぐかも?
半月山の展望台から見える中禅寺湖と男体山の景色は絶景、ツツジの咲く春と紅葉の秋が人気ですね。観光地でもあるため、特に帰りのバスは混むのでご注意を。
馬鹿正直に中禅寺温泉BSからぐるっと回ると、コース定数は29。観光も兼ねて行くなら、少し体力の節約の仕方を考えたいところです(笑
https://www.crowsclaw.info/archives/2932
茶臼岳〜朝日岳〜三本槍岳
ここは満場一致でお勧めに挙げられるんじゃないでしょうか。
北関東が誇る名峰、百名山の那須岳。
2000mに満たない低山でありながら、景色は完全に高山のそれ。
森林限界を超えてハイマツ帯を歩く感動を、前泊なしの日帰りで味わえる。
見える景色はまるでアルプスの稜線、無理なく最高の体験が味わえる山がここにあります。
三本槍岳まで行くとなるとそこそこ体力が要りますが、この山の魅力は朝日岳まででも充分味わえます。
下山後は那須の名湯に立ち寄ることもできるので、登山の醍醐味を存分に堪能できる山旅になること請け合い。
https://www.crowsclaw.info/archives/3283
最後に
今回挙げた山はどれも、それなりに体力の要る山です。
どれも行動時間がそこそこ長くなるので、思わぬ天候の変化に見舞われたり、終バスの時間を気にしたりする必要が出てくる場面もあるかもしれません。
川苔山や檜洞丸などは、遭難や死亡事故の多発する山でもあります。
まずは天気のいい日に、バスを使わずに帰れる山で焦らずに自分の体力と向き合ってから、その先に足を延ばす計画を立ててみるといいでしょう。
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