【北アルプス】槍ヶ岳:上高地からのピストンで挑む、一万尺の名峰
2025年04月06日2025年04月06日登山:日本アルプス

登山情報
GPSログ
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コース情報
- 標高
3180m
- 標高差
1676.0m
- 累積標高(登り)
1794m
- 累積標高(下り)
1794m
- 行動距離
40.39km
- 行動時間
14時間28分
- コース定数
57.2
アクセス
往路・復路ともに:〜上高地バスターミナル(高速バス使用)
初日:上高地〜槍沢ロッジ




飯豊山に五竜岳、日光白根山のリベンジも果たして2024年の夏山登山はもう充分なんじゃないかと思いましたが、高速が取れたので上高地へ。
行きたかったけど行けてなかった山に登る2024年、最後の夏山は北アルプスの稜線を歩いていればどこからでも見えるあの特徴的な山、槍ヶ岳を目指します。
9月に入ると秋晴れなんてどこへやら、山の上で一日中きれいに晴れてくれることは少ないと思います。
この日も朝は霧が降りてしっとりした雰囲気に。

小梨平から明神館にまっすぐ向かう道が通行止めだったので、対岸へ渡っていつもと違うコースで。

それでも横尾について日が登る頃にはすっかり、ちょっと雲多めですが晴れ間も顔を覗かせるように。
大事なのは明日の山頂で晴れていること。ですが、道中だって晴れるに越したことはありません。

横尾からは初めての槍ヶ岳方面。どんな道なのか、と思いましたが意外と普通でした。
ちなみに今回は、プランAが初日で殺生ヒュッテまで向かってあわよくばその日のうちに槍ヶ岳の山頂まで。天気が悪かったら翌朝に山頂をピークハントして、その後はペースに応じて横尾や徳沢などで後泊するか、行けるようであればそのまま上高地まで降りてしまって一泊二日で帰宅するパターン。
プランBはババ平を拠点に二泊三日で山頂を目指す定番パターン。
自分の体力であれば今ならまだプランAで行けそうな気がするのですが、以前奥穂高岳に登った時に結構身体のダメージがきつかったので、比較的ロングコースになる今回はプランBの可能性も考慮に入れておきたいものです。

横尾の次は槍沢ロッジを目指すのですが、このあたりもまだまだ樹林帯。
ちょっと道が荒れている箇所もありましたが、本格的な登りが始まるような雰囲気ではないですね。

などと言っている間に槍沢ロッヂに着いてしまいました。
奥穂高岳に登った時も本谷橋までは割と平坦な道でしたが、こちらの道も尾根ひとつ挟んで隣なので、似たようなものなのでしょう。
ババ平のテント泊申し込みもこの小屋で行うので、泊まるか殺生ヒュッテまで進むか、その判断はここですることになります。
今のペースなら殺生ヒュッテに15時前に着きそうだ、ということで今回はここでは小休憩程度で済ませて、先に進むことに。
初日:槍沢ロッヂ〜殺生ヒュッテ

槍沢ロッヂからババ平までの間は少し登る感じですが、今のところはまだキツさは感じない程度。
穂高連峰に近づいて、少し景色もよくなってきました。

というわけでババ平に到着。
槍〜穂高の稜線が見える、標高はそれほど高くないですが景色の良いテント場です。
そういえば今回のルート、夏場は炎天下の中延々樹林帯を歩くことにはなりますが、キャンプ場や山小屋、テント場に水場があるので水に困ることはありません。1リットルも要らないくらい。

このあたりから、標高はまだまだ2000m前後と樹林帯ながら穂高連峰の稜線を見ながら歩けるご褒美タイムが始まります。
もちろん稜線を歩く方が景色を楽しめるのですが、私はこういう景色だけでも高山帯に来たのを実感してテンションが上がるタイプ。

槍沢大曲りまでやってきました。
このあたりからいよいよ槍ヶ岳の山頂へと向けて、傾斜がきつくなっていきます。

きつくなっていきます、といってもこの景色を見ながら登っていくので、気持ちいい以外の言葉がありません(笑
傾斜自体もそこまでしんどい感じではないですね、ガレてもいない歩きやすい道なので、涸沢を目指す道よりだいぶ気楽。

ちょっと登って振り返ると、こんな景色。
それなりにちゃんと標高を稼いでいるんだ、というのが実感できますね。
今回のようなロングコースの場合、本当に登っているのかよくわからなくなるので、こういう実感を持てるのは大事。

槍ヶ岳をまっすぐ目指す道と天狗原の分岐地点までやってきました。
殺生ヒュッテには早く着いておきたいので、今回はまっすぐ進みます。
上高地からの標高差は約900m。体感、この前後が初日では一番キツいですね。

水場で最後の補給。9月に入っても水量は凄まじく、またとても冷たくて美味しいです。
この後は小屋以外に補給地点はないのと、小屋の水も有料で限りがあるので、ここでしっかり補給しておきたいですね。

午後になってすっかり曇ってしまいましたが、殺生ヒュッテまであとちょっと。もう一踏ん張りです。

というか、もう小屋が見えるところまで来ているのですが。
ここからがまた長いんですよね……(笑

見えているのに、着きそうで着かない。
このあたりは穂高連峰らしくガレ場になっていて、最後の力を振り絞って登っていく感じに。
しかも、このあたりで雨がぱらついてきちゃいました。

何とか頑張って殺生ヒュッテへ到着。
15時前どころか13時台に着いてしまいました。
今回のコースは、距離自体は長いものの極端な急登はないのでかなり歩きやすいです。
それでも初日で殺生ヒュッテまで行くにはある程度コースタイムを巻いていく必要はあると思うので、万人向けではありませんが。

テント泊だけど小屋飯は頂いちゃう。
大事です、小屋飯。その後の体力の復活度合いが全然違いますから。
その後はテントを設営したら結構しっかり降ってきたので、何もすることもなく早めに就寝。
できれば上高地まで一気に降りたいので、翌朝に備えます。
二日目:槍ヶ岳山頂ピストン

翌朝。なるべく早めに行動を、ということで日の出前に行動を開始したら、日の出前にそのまま槍ヶ岳の山頂まで登ってしまいました(笑
なのでそのまま、山頂で日の出を拝んでいくことに。
槍ヶ岳山荘まではそこまでキツい道でもなく、頑張って歩けば30分くらいで着いちゃいます。
ただ、問題はそこから。ここまでは距離は長いものの初心者向けと言ってもいいような道でしたが、さすがに槍の穂先はそんなに簡単ではありませんでした。
ちゃんと足場はあるので難易度が高いわけではないのですが、特に山頂直下の梯子は高度感がありましたね。
鎖場の経験がないとさすがに、足がすくむかもしれません。




あの見た目なので山頂は高度感増し増しなのですが、10人くらいは日の出を待てるくらいのスペースがあります。
朝焼けで既に明るくなり始めていたので、日の出を待つ間にちょっと周囲の景色を見て回ったりしていました。

そうして待っていると、雲海の上から太陽が顔を覗かせてきました。
昨日は午後から天気が崩れましたが、どうやら今朝は好天の下を歩けそうです。




モルゲンロートの撮影タイム。
山頂から足元を見ると高度感があって緊張しましたが、穂高の山々と表裏銀座の山々が朝日に赤く照らされながら眼下に広がる景色は絶景。
いつまでもそこにいたい気分ではありましたが、日が昇って山頂を目指す人が増えてきたので、本格的に混雑する前のまだ降りる人が少ないうちに降りることにします。

逆光だったのであまりきれいには撮れませんでしたが、槍の穂先はこんな感じ。
道ははっきりしていて、登りルートと降りルートも分かれているので見た目ほど難しいという感じではありませんでしたが、傾斜はそれなりにあるので緊張感はあります。
絶壁感があるので見た目は怖いですが、難易度自体は今までに登ってきた、乾徳山や四阿屋山に比べれば足場は明瞭で登りやすい方かなと思います。
一番恐怖感を煽られるのは多分、傾斜80度の山頂直下の梯子。降りる時が特に怖くて、最初の一歩を踏み出すのに結構勇気が要ります。




景色が見たいだけなら山頂まで行かなくても全然OK。
槍ヶ岳山荘周辺からでもこの眺めなので、穂先に登る勇気が出なくてもここまで登ってきた達成感は充分に味わえます。

明るくなってきたのでそろそろ撤収。
早めにテントを片付けて、上高地を目指して長い道を降りていくことにします。




今回はステラリッジだったので多少時間は掛かりましたが、撤収を終えてテントをザックにしまっていざ出発。
時刻は午前7時前、順調に歩けば問題なく上高地に着きそうですが、長い降りなので身体が保つかどうか。
殺生ヒュッテ〜上高地

登った時は1時間くらい掛かったような気がした道も、下山ではあっという間。
今回のルートは難所がなく全体的に登りやすい道なので尚更です。
淡々と歩いているとすぐに樹林帯まで降りてしまいそうなので、景色を記憶に残すことも忘れずに。

往路でも補給した水場でしっかり水分補給。
小屋で水を買わなかったので乾き気味なので、ここでしっかり水分を取り戻しておきます。
9月とはいえ雲ひとつない快晴の空模様。時々補給地点はありますが、足りなくなることがないようしっかり汲んでおきましょう。

途中でガスが昇ってくるタイミングもありましたが、順調に樹林帯付近まで降りてくることができました。
下山中もしんどい箇所はなく、本当に歩きやすい道だと思います。

ババ平に降りる頃にはガスも晴れて、再び青空が見えてきました。
ここまで来ればあとはほぼ平坦な道を降りるのみ。
2時間も掛からずに降りてこられたので、このペースなら昼過ぎくらいには上高地に着けそうです。
まだまだ距離はありますが、天気も崩れる気配はないですし、無事に下山できそうでひと安心。




あとはもう、道なりで。
一定間隔で補給地点もありますし、横尾まで降りて来ればもう遭難の心配もないでしょう。
小梨平〜明神館間の直行ルートが使えなかった分、最後の回り道が混んでいてしんどかったのですが。




そうして無事、13時過ぎには上高地まで戻ってくることができました。
山で一泊したのでどこかで汗を流して帰りたい、ということで小梨平キャンプ場のお風呂に入ったり、河童橋で松本ブルワリーのビールを飲んだりと、少し寛いでから帰路につきました。
小梨平キャンプ場のお風呂の受付は14時からなので、もう少しのんびり降りてもよかったですね。
感想

有名だけど実際どうなの、と思って優先度の下がっていた槍ヶ岳。
ですが実際に登ってみると、キツい印象の穂高周辺の中では比較的登りやすく、道中も緑が多くて景色も良い、快適に歩けるアルプス登山の入門に良さそうな山でした。
穂先を登るのはちょっと勇気が必要ですが、低山の鎖場で少し経験を積んでいけばきっと大丈夫。
さて、だいぶ時間が掛かってしまいましたが、これで2024年のアルプス登山は一通り書き終えました。
この一ヶ月後には奥秩父の方にまたテントを持って登るので、テント泊登山自体がこれで最後というわけではないのですが。
9月の連休を使った遠征が終わると、一気に秋山シーズンに入りますね。
2024年はあまりモチベーションが上がらず、紅葉登山で新規開拓することは多くなかったのですが、時間を見つけて何とか夏山シーズンが始まる前にはその日記も書き終えたいと思います(笑
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