【南アルプス】北岳:UL装備で挑む日本で二番目に高い山
2022年08月28日2023年09月25日登山:日本アルプス
登山情報
GPSログ
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コース情報
- 標高
3193.2m
- 標高差
1683.2m
- 累積標高(登り)
1705m
- 累積標高(下り)
1686m
- 行動距離
11.56km
- 行動時間
7時間56分
- コース定数
35.8
アクセス
往路、復路ともに:~JR中央本線 甲府駅 > 山梨交通 甲府・広河原線 広河原BS
というわけで、お盆のタイミングで今年もテント泊登山に行ってまいりました。
直前までノープランだったので、予約なしで利用できるテン場を使って2泊3日程度で行ける山に登りたい。
などと考えて北岳〜農鳥岳を縦走するプランを立てていたのですが、直前になって台風が発生したためやむをえず1泊2日のピストンに。
まぁ、WCBのBAスタウトをはやく飲みたいという欲求もあったのですが。
広河原〜白根御池小屋
甲府駅を始発よりも早い時間に出発する例のバスに乗って広河原へ。
前回が甲斐駒仙丈なので、4年ぶり?
今回は終電よりちょっと早い電車で甲府に行ったので、そこそこ眠れた……と思いきや、駅前が結構騒々しくてなかなか眠れず。
今回もまた眠い目を擦りながらの登山になりました。
天気はちょっと雲多めかな。
翌日は崩れそうだけど、夜までは空が見えそうな予報。
上の方はどうなるかわからないですけどね……。
北岳はキツいと聞いていたのですが、序盤は緩め。
いつ急登が始まるのかと戦々恐々としていたら……案の定、こんな緩やかな道は最初の少しだけで、あとは全部急登でした。
広河原から登る北岳は標高差1700m近くありながら、水平距離は往復で12kmにも満たない短い距離。
なので必然的に、登りという登りは全部急登になるのです。
この日はお盆ということもあって、序盤の急登はかなりの混雑。
隊列を乱さないように前の人についてく、ついてく……してたので写真はありません。
序盤は樹林帯で見所もないので、特に問題もないのですが。
登山口に行く手段がバス以外になく、高尾山のように道が広いわけでもないので、どうしてもハイシーズンは渋滞になってしまうのだと思います。
初っ端から飛ばしてしまうヘマをすることはなくなるので、悪いことばかりではないですがね。
白根御池小屋でようやく半分くらい。
スローペース気味だったので疲労はそこまででもなかったのですが、スタート地点の標高がそこまで高くないのでロストした水分の補給をしたくてしょうがない。
まぁ、ここでゆっくり休憩を取りたくなりますよね。
なので、このあたりで渋滞は解消されて、自分のペースで歩けるようになります。
白根御池小屋〜北岳山頂
湖畔……というほど大きい池ではないですが、見上げれば白峰三山も見えるロケーション。
テン場も平たくて良い感じに休めそうです。2泊3日なら朝に甲府へ向かって、ここで一泊というのも悪くなさそうな。
白根御池小屋からは2ルートに分かれます。
左手に向かう右俣ルートの方が景色は良いとのことだったのですが、ハイシーズンなので早めにテントを張る場所を確保したくて草すべりの方へ。
こちらはやや単調ではありましたが、振り返ればいつでも鳳凰三山を眺めることのできる悪くないコースでした。
8月に入っても、色々な花を見ることができたのも印象に残っています。
あとは蝶。
私の足に取り付いたこの子、全然逃げる気配がなく、結構な高さまで私を利用して登っていきました。
北岳の登りで印象に残っているのは、ガレ場っぽいガレ場がほとんどないこと。
樹林帯の上の方ではさすがに、足元が土ではなく岩になっていはいたのですが、所謂ガレ場っぽい「自分の歩幅で歩けない」感は全然なかったですね。
なので、穂高岳のような岩山で感じる登りづらさは全然なかったです。
なので、体力は要りますが、そこまでしんどい山ではなかったかな。
そして森林限界の高さ。
南アルプスの森林限界は高いといいますが、ここ北岳の森林限界もかなり上のほうにありました。
標高2800m近くまで登ってようやく、木々の背丈が低くなってきたかなという印象。
稜線に上がるまでは樹林帯だと思っていいんじゃないかな。
そんな山なので、稜線が見えてくるとやっぱり嬉しいですね。
待ちに待ったハイマツの景色がようやく拝めるぞ。
やっぱり高い山は、ハイマツ帯を歩くのが一番楽しい。
右俣ルートと合流して、いよいよ最後の登り。
稜線はまだまだ先のようにも見えますが、ここまで来たらもうあと少し。
意外とあっさり稜線に出ちゃいます。
稜線に出ると、見渡せるほどの展望。
雄々しい甲斐駒ヶ岳と、穏やかな仙丈ヶ岳が印象的。
反対側を見れば鳳凰三山の全貌。
個人的には、眺める分には甲斐駒ヶ岳が一番美しいかなと思います。
山頂の白と、中腹の緑のコントラストがとてもきれい。
さて、ここからはウイニングラン。
まだもうちょっと登りますが、正真正銘の稜線歩きです。
下から見上げた時は稜線付近は雲が掛かっていて、ガスまみれで展望ゼロかなぁと思っていたのですが、山に遮られた反対側はしっかり晴れてましたね。
ちょっとした岩場が一ヶ所ありますが、まぁ全然余裕でしょう。
そうして肩の小屋へとやってまいりました。
本日のキャンプ地はここ。今年の北岳山荘はテン場も予約制で泊まれなかったので、ここを拠点に北岳山頂に挑みます。
テントは今回もKhufu。
だんだん面倒くさくなってきて、今回もまたグランドシートなしで過ごしてしまいました。
夜中に雨が降ったので、この判断は間違いだったんですけどね。
しかしペグを忘れたので大変だった。固定できる岩がごろごろ転がってるので、風がなければ問題ないのですが。
でも、稜線なのでそう簡単にはいかないんですよね……。
設営も終わったので、天気が崩れないうちに山頂に挑みます。
午後からはやや雲が多くなってきて、正直あまり展望には期待できないのですが……。
でも、翌日の予報はあまりよろしくなかったので、やはり登れる時に登るに限る。
ちょっと登ってから小屋を振り返るとこんな感じ。
肩の小屋は標高3000mのところにあるので、今までで一番高いテン場に泊まっていることになりますね。
山頂付近だけがガレ場っぽいガレ場。
ちょっと浮き石が気になる感じなので、転倒や滑落には注意。
登ったぞ、と思ったらまだ先がありました。
小屋から50分のコースタイムなので、地味に距離があります。
ようやく山頂にたどり着きました。
標高約3193m、これで今までで一番高い山に登ったことに。
富士山にはあまり興味が湧かないので、もしかしたらここが今後の人生を含めても最高地点かもしれません。
北岳山頂〜広河原
山頂はガス多めではあったのですが、雲自体は厚くはなくて、青空が見えたり、隠れたりと表情がころころ変わるような感じ。
絶景こそあまり見えませんでしたが、雲と景色のコントラストが良い雰囲気で、これはこれで悪くないなぁと思ったり。
一通り堪能したので降ります。
売店が閉まるのがちょっと早いので、ビールが買えなくなる前に。
といっても時間にはまだ余裕があるので、登りではスルーした花やら何やらを撮ったりして。
というわけで、降りたら即ビール。
メニューには生ビールもありましたが、プラカップではあまり自分のペースで飲めなさそうな気がしたので、缶の方で。
まぁ生ビールといってもピルスナーなので、バーボンバレルエイジドインペリアルスタウトのような味にはならんでしょうし。
そういうのは翌日、降りてからやりましょう。
夕食を終えた頃から雨がぱらつき始め、まぁ小雨だろうと思っていたら日付が変わる頃には結構降るようになっていました。
グランドシートを敷いていないテントの中にも水溜りができるほどで、慌てて靴の上に荷物を退避することに。
明け方には風も強くなって、なかなか大変でした。
日が登る頃、雨脚が弱くなったタイミングを見計って撤収。
どうせ展望ゼロだから、と山頂にも寄らずに降りる決心をしたのですが……。
稜線を降りたタイミングで、なんか雲が薄くなってきました。
これってもしかして……と思いながら歩いていると、空が見えるように。
だまされた!!
晴れてるじゃねーか!
この感じなら山頂はもっと見晴らしが良かったかも。
でも、これはこれで雲の形がきれいなので、良いものを見れたと思います。
うーん、でもやっぱり稜線は晴れてそうだから、ちょっと惜しかったかな。
などと思いつつ、心は既に下山後のビールに向かっているので降りていきます。
帰りは右俣ルートでもよかったのですが、見た感じ雲が多そうだったので、安牌を選んで草すべりから。
そんな感じで白根御池小屋に降りて、少し水分補給。
ここから先は展望もないので、カメラも封印して淡々と降りるのみ。
最後は疲れも出てきて減速してしまいましたが、無事に朝10時のバスに乗って帰ることができました。
それでも3時間を切るペースで、広河原でシャワーを浴びる時間も取れたので良し。
途中下車しないと温泉に入れないので、バスに乗る前にシャワーを浴びられるのはかなりありがたいです。
その後は夕方前に帰宅して、荷物を降ろしてから勝利の美酒を飲みにビアバーへと消えていったのでした。
実は甲府のビアバーにも寄ろうと思ったのですが、カレンダーの上では平日だったのでランチタイムの営業がなかったんですよね……。
山コラムに追加したいビアバーだったので、秋にまた甲府の山に登って寄ってみようと思います。
振り返り
がっつり登って満足した登山ではありましたが、思ったより晴れなかったのと、やはり間ノ岳や農鳥岳を歩けなかったのが心残り。
帰宅してみると結構疲労を感じたので、少し体力づくりを見直して、またいつか挑んでみたいなぁと思っています。
実は今回、かなりUL寄りの装備で登っていました。
ザックは山と道miniの30l、不要なものは色々と省いてギリギリ収まったかなという感じ。
帰りは溢れそうだったのでカメラは仕舞わなかったのですが。
テントがKhufuなのがかなり大きいですが、それでも他に必要な装備は一切削らずに登ることができました。
削ったのは結局星撮りでしか使わない三脚とか、あってもなくてもよさそうなチェアやテーブルといったものばかり。
エマージェンシーキットや悪天候向けの装備、調理器具といったものは命にも関わるので普段通り詰めています。
食料も2泊3日になることまでを想定して持ち込んでいるので、軽量化というよりは遊びをなくしたといった方が近いかも。
それでもまだ使わなかったもの、持っていかなくてよかったものは結構ありました。
ULは何かを犠牲にして……といいますが、そこまで切り詰めなくてもULスタイルは取り入れられるかなと思っています。
自分が山で何をしたいのかを考えて、一番と二番目くらいにやりたいことだけに集中するようにすれば、自然に荷物が減ってザックが軽くなるような。
ただ、コースタイムにはそんなに影響なかったような気がしますね(笑
いくら荷物を軽くしても、自力がなきゃスピードハイクは無理でした。
そろそろ年齢も下り坂、登るならちゃんと鍛えないとダメだなぁ。
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