【北アルプス】黒部五郎岳:薬師峠からピストンで挑む北アルプス最奥の秘境
2022年10月24日2023年09月25日登山:日本アルプス
登山情報
GPSログ
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コース情報
- 標高
2926m
- 標高差
1576.0m
- 累積標高(登り)
3272m
- 累積標高(下り)
3267m
- 行動距離
42.28km
- 行動時間
16時間24分
- コース定数
76.9
アクセス
往路、復路ともに:JR新宿駅~新宿都庁バスターミナル〜折立バス停
太郎平小屋から約9km、日帰りで挑むことのほぼ不可能な北アルプスの最奥にある山、黒部五郎岳。
長距離移動を強いられる裏銀座の中でも、特に遠いと言われるその山に、薬師峠からのピストンで挑むというロングトレイル。
不安もありましたが、早朝に出発すれば行けるだろうという読みを信じて進みます。
薬師峠〜北ノ俣岳
というわけで薬師岳登山から一晩経ちました。
朝4時前に起きて朝食を済ませたあと、今回のメインディッシュである黒部五郎岳を目指してテン場を出発します。
テン場からでも9〜10時間は掛かると思われる今回のコース。
登山の基本である早出早着が非常に重要です。
まだ草木も眠る5時台のうちにガンガン歩みを進めていきます。
北タルプスの稜線上で、しかも一番映える時間ですが、カメラ遊びは下山の時にもできると言い聞かせて。
ある程度登ると、目指す黒部五郎岳が見えてきました。
太郎平小屋から最初の目立つピークである北ノ俣岳まで、300mほどの標高差はあるのですが、非常に緩やかな道なので負担は感じません。
でも、片道約9kmの超ロングコース。果たしてコースタイムから大きく外れることなく登り切ることができるだろうか……?
モルゲンロートの時間帯ですが、朝日は北アルプスの山々に遮られるので、こちら側はそこまで映えるような感じではありません。
ならば今のうちに、進めるだけ進んでおかないと。
あのピークを越えれば、あとは一度標高を落として最後の登りに挑むのみ。
先を急ぎたいところですが、この花畑はきれいだったので撮っておくことに。
日も上がり始めて、登山道も少しずつ明るくなってきました。
朝日に照らされる、特徴的な山の姿。
どこから見ても槍ヶ岳はわかりますね。本当に個性的な山だと思います。
登ったことはありませんが。
というわけで、北ノ俣岳へとやってまいりました。
テン場からここまで約2時間。いいペースで歩けているのではないでしょうか。
北ノ俣岳〜黒部五郎岳
北ノ俣岳までは緩やかな登りが続いていましたが、ここからは一度標高を下げてからの登り返しになります。
その標高差は400m。
ここまであまり体力を使わずに歩いてきましたが、前日の疲れもあるのでどれだけ消耗を抑えて登れるのやら。
でも、アップダウン少ないから何とかなるでしょ。
ということで歩いていきます。
左手に見えるのが黒部五郎岳。まだまだ先は長いなぁ。
前後、ちょっとガレた雰囲気のある赤木岳。
岩が積み重なって山になったような感じで、蓼科山の山頂とか、常念岳の一部とかに似た雰囲気。
踏み外すと山が崩れそうな気がして、個人的にはちょっと苦手。
ここから一気に降っていきます。
鞍部の中俣乗越は標高2450m、だいたい150mくらい降りることに。
今まで使ってきた足がもったいない(笑
降りた先に少し休めそうな場所がありますね。
最後の登りにそなえて、あそこまで行ったら少し休憩かな。
そして、最後の登り返し。
山頂までの標高差はまだ結構ある。コースタイムもそれなりに長いし、結構登るんだろうなぁ……。
と思ったらそうでもなく、意外とあっさり登ってしまいました。
まぁ急登の開始地点までに多少登り返しているのと、黒部五郎岳の肩から山頂までもそこそこ標高差があるので、実際にこの登りで稼ぐ標高自体はそこまででもないのですが。
疲れることは疲れるんですけどね。でも、休んだら一気に辛くなるぞ、と言い聞かせて登り続けたのでバテずに登り切れたのかも。
まぁ、これだけ歩いてきたからね。
右手に見えるのが前日に登った薬師岳、その下に見えるのが太郎平小屋。
こうして見るとだいぶ長い。片道9kmは伊達じゃないですね。
山頂まであともうちょっと。頑張って登るぞ。
片道10分くらい……ではあるのですが、まだあと70mくらいは登らないといけません。
ですが、さっきの急登に比べたら全然余裕。
ガレ気味の登りを頑張って登れば……あともう少しで山頂!
そして到着。
北アルプス最深部に連なる黒部五郎岳、ついに登頂です。
黒部五郎岳〜薬師峠
黒部五郎岳の山頂からの景色は、本当に良いものでした。
裏銀座の峰々や遠くに見える槍ヶ岳、前日に登った薬師岳もよく見えます。
この山自体はさほど標高が高いわけでもなく、裏銀座から少し外れた地味な山かもしれません。
でも山頂から360度、北アルプスの絶景を見渡すことができる。
ここまで歩いてきた甲斐があるというものです。
日本最後の秘境とも言われる雲ノ平も見えました。
いつかはあそこに行ってみたい。
確か小屋でヤッホーブルーイングのビールが買えるんでしたっけ。最高じゃないですか。
いつか登ってみたい山々を眺めつつ。
まだ今日の行程はここで半分。頑張ってテン場に帰らなければ。
ということで、名残惜しいですが下山します。
まだこれだけの道を歩かないといけないからね。
そして薄々勘づいていたのですが、何気なく降りていった北ノ俣岳からの下りを、今度は登らないといけない。
これがまた結構登らされるんですよね。
標高差自体は250mくらいで大したことないんですが、割と急登になっていることが多いので、ここまで歩いてきた身体にはそれが辛い。
下山しているはずなのですが、降っている記憶よりも登っている記憶の方が残っています。
まぁ、この景色が見られるのなら、それもまた良し。
キツいことには変わらないのですが、やっぱり景色が良いと気持ちが晴れます。
朝方は真っ暗でしたが、もうだいぶ日も登っているので見渡す景色も色鮮やか。
あちらは水晶岳でしょうか、裏銀座縦走は結構長い道を歩くと思うのですが、ゴツゴツしていてキツそう。
憧れの山域ではあるんですけどね。
北ノ俣岳が近づいてきました。
ここまでくるともう楽な道が続くことはわかっているので、だいぶ気が楽になります。
北ノ俣岳まで戻ってきました。
手持ちの水分もまだ余裕あり。もう急登もありませんし、ここで小休憩を挟みます。
そういえば、太郎平小屋から黒部五郎岳まで、給水できる場所やトイレもないんですよね。
長い道のりですが、そういった補給地点がないのもこのコースのキツいところか。
北ノ俣岳を越えたらあとは緩やかな下り。
長めのウイニングランです。
ここまで歩いてきた疲労もなかなかのものなので、無理にペースは上げずに自然な速度で。
両足にサポーター巻いてがっちり固めていますが、それでもこのロングコースだと膝への負担が怖い。
木道の出番が増えてきたら、そろそろゴールも近い。
朝は見られなかった、池塘と薬師岳。
そして最後に木道の登りを越えれば……。
実質ゴール地点の太郎平小屋が見えてきました。
事前の情報では雨の可能性もありましたが、曇ることすらなく晴れてくれました。
朝の出発から数えて8時間半、18kmのロングコースを歩き切ってようやく到着です。
行動食が軽めだったので、小屋飯で腹を満たすことに。
食欲をそそるスパイスカレー、スパイシーですが辛過ぎず、ご飯にもよく合います。
ごろごろした野菜も、山ではまず採れないので嬉しい。
ラーメンが有名な小屋なのですが、活動時間の長い登山ではしっかりしたエネルギー源を採りたい。
やはり日本人ならこんな時は、小麦ではなく米。
小屋飯ならアルファ米じゃないご飯が食べられるので、やっぱりその利点は活かしていきたいですよね。
まだテン場までは20分ほど掛かりますが、ここで疲れを癒すべく長めの休憩を取ることに。
さすがにテン場に戻ってからまた小屋に戻りたくはないので、買い物も済ませておきます。
テン場に戻ったらビールを一杯。
日没まではだいぶ時間もあるので、仮眠を取ったり、空を眺めたり。
翌日はもう降りるだけなので、のんびりと過ごします。
薬師峠〜折立
ゆっくり一晩寝て翌日。
今回の山旅の最終日です。
バスが来るのは11時台なのでのんびり降りてもいいのですが、最終日の天気も割と良さそうな感じ。
あまり暑くなる前に降りてしまおう、ということで6時くらいにはテン場を出発して下山することにします。
最終日は雲も多め。
台風接近の情報もあるので、2泊3日でこの日に降りる今回のプランはどうやら正解だったようです。
しばらく余韻に浸りながら、続く木道を降りていきます。
テントを背負って荷物はやや重め。結露もろくに払っていないので、往路より重かったかも。
日が昇ってきました。
今日も暑くなるんだろうなぁ。
往路では登りやすいと感じていたのですが、下山時はこのごろごろした小石が厄介でした。
変に踏んでしまうと足にダメージがありそうで、ペースを上げられそうで上げられない微妙な感じ。
そういえば有峰湖を全然撮ってないなぁ、と思い出してふと撮ってみたり。
意外と緩やかなようで斜度のある道を、折立まで降って今回の薬師岳〜黒部五郎岳登山は終わりました。
樹林帯に入ってしまうと景色も何もないので、最後に山の合間から見える立山の平原を写真に収めて、この日のカメラ遊びはおしまい。
下山後、3時間くらい持て余したのでバス停そばのキャンプ場でテントを干したり。
同じくバスを待つ方と会話したりして時間を潰してから、往路と同じく新宿までバスに揺られるのでした。
途中で温泉に寄ったのですが、そこで食べるご飯がバスの来るギリギリの時間まで来なかったり、事故渋滞に捕まって立ち往生したり、と帰路は色々トラブルもありましたが、無事日付の変わる前には帰宅できました。
振り返り
そんな感じで、総行動距離40km超の薬師岳〜黒部五郎岳。
去年の奥穂高岳を超えて、私が山に登り始めてから一番のロングトレイルになりました。
かなり突発的に行くことを決めた今回の山行ですが、天候にも恵まれ、行く機会のなかなかなさそうな黒部五郎岳に到達できました。
おそらくそう何度も登れる山ではないでしょうが、あまり週末の天気に恵まれない今年においてはなかなかの当たりを引けたと思います。
ここに登る前は、年内に今回の他にもう一座くらいテント泊で登りたい、と思っていたのですが、終わってみれば大満足。
結果的にそのまま、遠征することなく今に至っています。
既に低山まで秋の気配が降りてきているので、しばらく遠征はしないんじゃないかなと思います。
そろそろ、どこに登っても楽しい、低山の季節が始まりますね。
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