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【北アルプス】裏銀座縦走:ブナ立尾根から二つの百名山を経由して小池新道へ抜ける、北アルプス屈指の秘境の稜線

2024年07月20日2024年07月20日登山:日本アルプス

登山情報

GPSログ

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コース情報

標高

2986m

標高差

1906.0m

累積標高(登り)

2898m

累積標高(下り)

3086m

行動距離

41.15km

行動時間

27時間49分

コース定数

93.2

アクセス

往路:〜七倉山荘(毎日アルペン号) > 高瀬ダム濁沢登山口(タクシー)
復路:濃飛バス 新穂高ロープウェイBS > 濃飛バス 平湯温泉 > JR東日本 中央本線 松本駅〜

初日:七倉山荘〜烏帽子小屋、烏帽子岳

白馬岳に続き、昨年の夏は一生に一度は登っておきたい山に行ってまいりました。
北アルプス裏銀座縦走です。

夜行バスで七倉ダムへと向かい、初日は日本三大急登に数えられるブナ立尾根から登り、烏帽子岳を登りつつ烏帽子小屋に泊まります。
二日目は日帰り不可能といわれる百名山、水晶岳に寄りつつ、さらに鷲羽岳にも登って三俣山荘に一泊。
最終日は三俣蓮華岳、双六岳を経由して小池新道を降り、新穂高温泉へと下山する、定番の裏銀座縦走コース。

天気予報も悪くなく、また予約不要でテント泊できる……ということで、残り少ない夜行バスの予約を取り、いざ七倉へ。

毎日あるぺん号に乗って早3時台に七倉で下車。
すごい時間に降ろされるなぁと思いつつ、登山口のある七倉ダムまで進むタクシーが来るまで待機。
歩いて行くこともできますが、乗り合いになるのでそこまでお金も掛かりませんし、素直に待つことにします。

一度で全員乗れるほどの台数のタクシーが来るとは限らないので、あまりのんびりしていると登山開始が遅れてしまうかもしれません。

というわけで、七倉ダムへ。
ここに来るまで特に見どころがあるわけでもなく、ここは頑張って歩かなくてもいいかな、という感じでした。

この吊り橋を渡れば、いよいよ裏銀座縦走の登山スタート。

今回の三日間は好天の予報……でしたが、どう見てもいい天気には見えないが……?

視線の先に見えるのは、雲に届くほどの山々。
私は、これからあの雲の上まで登るのか……。
日本三大急登のひとつ、ブナ立尾根。同じ日本三大急登の合戦尾根はそこまでキツく感じませんでしたが、こちらはどうなのやら。

ここまでは平たい砂利の上を歩いていましたが、ここから先は登山道らしい道。
それではいよいよ、登山開始です。

……色々端折って、四号目地点。
変わり映えのない急登をひたすら黙々登って、最初の少し開けた場所。
麓から始まるカウントダウン、40%くらい登ったということですか。

朝日も登り、雲も薄くなって、遠くに北アルプスらしい鋭さの山が見えてきました。
どうやらこれから晴れそうな気配……?と、思っていたのですが。

ちなみにこのブナ立尾根、こんな感じの樹林帯の登りがひたすら続きます。
エグい急登ではないですが、烏帽子小屋までの標高約1100mをずーっとこの景色を見ながら登るので、誰だって飽きると思います。
私も飽きました。

ただ、ここはほとんどの人が朝イチのタクシーで行く関係で、だいたいみんな同じペースで登り、同じような場所で休むんですよね。
なので、休みながら同じ道を登る人と少し会話したり。孤独に登る感じではないのでちょっと気が楽です。

晴れそうで晴れない空にはもどかしさを感じますが、それでも木々の合間から見る裏銀座の尾根にはこれから先の稜線歩きへ期待せずにはいられません。

最後は小雨もぱらつきましたが、烏帽子小屋に到着。
尾根に取り付いたのは朝6時半ごろ、小屋に着いたのが10時過ぎだったので、3時間半〜4時間くらいでしょうか。
ハードな急登でしたが、ザ・樹林帯といった感じでガレ場などはなく、単調ですが登りにくい道ではなかったと思います。

まだ午前中なので、小屋泊の方は薬師岳に登ってから野口五郎小屋を目指す方が多いようです。
私は先に受付を済ませてテントを張り、雲模様を見ながら烏帽子岳へと登るタイミングを図ることに。

晴れた、というほどすっきりした空にはなりませんでしたが、雲が薄くなったので烏帽子岳を目指すことに。

登りながら、後ろの野口五郎岳方面をとらえて一枚。
まだまだガス多め。一応、日差しが見える程度には雲も薄くなってきたんですけどね。
なかなか青空と山がうまくフレームに収まってくれません。

こちらが烏帽子岳。
鋭いですね。途中、短いですが鎖場もあります。
こちらも晴れ始めているのですが、山には雲がまとわりついていて離れてくれませんね……。

……というわけで、烏帽子岳に登りました。
こんな感じで、空を仰げばちゃんと青空が見えるくらいには晴れていたんです。
ちなみに、烏帽子岳の鎖場は高度感もなく、難易度は高くないと思います。

烏帽子岳の山頂は狭いので、一息つく程度の滞在時間であまり長居はせずに下山。
烏帽子小屋へと戻るわけですが、その道中でようやく山と青空を組み合わせて一枚撮ることができました。
晩夏の雲多い天候なら、こんなものでしょうか。

烏帽子小屋から烏帽子岳までの道はアップダウンも少なく、緑も多いので気持ちのいい稜線歩きを楽しめます。
距離はさほど長くはないですが、初日からこういう道を歩けるのはいいですね。

というわけで、テン場まで戻ってきました。
戻ってみるとテン場もそこそこ混み始めてますね。

午後は比較的天気が良かったようですが、ここから先はしばらくテン場のない区間。
明日の長距離移動に備えてゆっくり休むことにします。

二日目:烏帽子小屋〜野口五郎岳〜水晶岳〜鷲羽岳〜三俣山荘

二日目。早めの時間にテントを片付けて、いよいよ裏銀座のメインストリートを歩きます。
今日は晴れて……いや、曇ってますね……。

思ったより雲の多い2日目。
野口五郎岳までは2時間程度の登り道。
夜明け前から出発していたのでこのように、マジックアワーで赤く照らされた裏銀座の縦走路を歩くことができました。

この日もなんかこう、晴れているはずなのに稜線だけは雲を纏っている、そんな感じの天気。
まぁガスまみれの稜線を歩くよりはマシか。

もうすぐ野口五郎岳……ですが、その前に野口五郎小屋に寄って少し休憩。
裏銀座縦走路は水場がなく、こうして小屋に寄るしか給水手段がありません。
もちろん烏帽子小屋にも水場はなく、この年は水不足だったのでなかなか難しい山旅でした。

野口五郎岳……は、今回の参考で唯一、完全にガスに覆われた山頂でした。
ちなみに野口五郎小屋から野口五郎岳まではわずか15分ほど。
意外と裏銀座縦走は、一度稜線に出てしまえば派手なアップダウンなく歩くことができます。

そして、水晶岳を巻いた場合はここ野口五郎岳が最も標高の高いピーク。
今回歩いた中では一番、傾斜の緩やかなピークなんですけどね……。
稜線の中で少しだけ盛り上がったところ、くらいの感覚なのですが。

二日目は距離が長いので、ガスが晴れるのを待つことなく出発。
少しでも早く三俣山荘まで行かないと、テントを張る場所を確保できないかもしれないので。

野口五郎岳を越えてすぐにガスが晴れてきました。
やはりガスが巻いていたのは山頂付近だけでしたか。

真砂岳を巻いて、水晶小屋付近まで登り返してから振り返って一枚。
こんな感じで、多少アスレチック感覚な箇所もありますが、危険な箇所もなく歩けます。

水晶小屋で再び給水してから、縦走路を逸れて水晶岳に寄り道。
北アルプスの最深部にある山、やはり裏銀座を歩いたらここに登らずにはいられません。

相変わらず雲多めの天気ですが、山頂はガスってはいなさそう。
山頂までは往復1時間程度。
一応、ペースが遅かったら寄らずに三俣山荘へ行くことも検討していましたが、だいたい予想通りのペースで進んでいるので問題なさそうです。

すこしだけスリルのある岩場を越えて、水晶岳へ。
今回の縦走の中では一番標高の高いピークです。

小屋の方に荷物をデポして登る人がほとんどですが、個人的にはテント泊のザックをどこかに置いたまま離れる、というのができないんですよね……。
最近は山での盗難も多いと聞きますし、UL装備系はやや価格も高めなので、狙われやすいんじゃないかな……という不安もあり。

頭上の雲は晴れませんでしたが、水晶岳からは雲の平も見えて良い景色でした。
裏銀座の縦走路を見渡せて、薬師岳方面も見えて、360度どこを見ても北アルプスの山々という景色。
まさに絶景……なのですが、すでに山深い縦走路を歩いてきているので思ったほどの達成感でもない……かな?

さくっと降りてきて、ふたたび水晶小屋へ。
あとは今日、鷲羽岳を越えて三俣山荘へ向かうのみです。

これまでの道を振り返ってみる。
いくつかピークはありますが、登山道自体はピークを巻いていたりもするので、見た目ほどのキツさではないですね。
長いですが。

水晶小屋から少し歩いて、最後のピークへ。
視界に広がるのは今回登るふたつめの百名山、鷲羽岳と、その手前のワリモ岳。

鷲羽岳へは意外とがっつり登るんですよね。
ここを巻いて先に三俣山荘に行くという選択肢もありましたが、テント張ったらもう登らないだろうなぁ、と思ったので頑張って登る。

こちらはワリモ岳側。
こうしてみると、よくもまあこんなところに登山道を通したものだなあ、と思いますね。

最後の力を振り絞って鷲羽岳へ。
ここまで登ればあとはテン場へ降るのみ、という達成感から、しばらくここに滞在。
朝4時頃に烏帽子小屋を出発して、鷲羽岳のピークに登頂したのが13時前。思ったよりもいいペースでここまで歩くことができました。

本日の宿は、ここから400mほど一気に降った先にあります。
これまで標高2900m前後の稜線を歩いてきましたが、鷲羽岳から三俣山荘までは結構な標高差が。
先に地図を見てこれがわかっていたので、逆に鷲羽岳は巻いて行けなかったんですよね。
ここを巻いて三俣山荘に行ってしまって、この傾斜を見てしまったら登り返す力は出ないだろうなぁ、と。

結局一日中頭上には雲が漂っていましたが、ガスに巻かれることはほとんどなく、鷲羽池もきれいに見られました。

さて、それでは降りますか。
この坂が結構急で、ここまで頑張って歩いてきた足には結構大変。
予定より早く着きそうなので、無理せずのんびり降りていきます。

ようやく、小屋が目線の高さのところまで降りてきました。
いや、長かったですね。
テン場はもう、張りやすいところは埋まってしまっていそうなので無理せずゆっくり。

振り返って鷲羽岳。実際に見てみるとそのスケール感に圧倒されます。
こちら側から登ったほうがキツいですからね。先に登っておいてよかったなぁ。

というわけでこの日は、なんとかテントを張る場所を確保して就寝。
テント泊縦走しようと思ったら烏帽子小屋からここまで歩くしかないのですが、新穂高温泉側からも登る人が多いので、場所の確保は結構難しいです。
整地された平たい場所も多くないので、自立式でないテントの場合は結構苦労しますね。

三日目:三俣山荘〜三俣蓮華岳〜双六岳〜弓折岳〜小池新道〜新穂高温泉

最終日も早出。
3時頃に起きて、テントを撤収して三俣蓮華岳を目指します。

とか言ってたら日の出前に山頂に着いちゃいました(笑
まぁ、テン場からここまで1時間掛かりませんからね。

が、この選択は意外とアリでした。
夜明け前の明るくなり始めた空に浮かぶ、槍ヶ岳のシルエットがかっこいい。
これを見ながら歩けるというのはなかなか良いものです。

このあたりも緑が多くて、気持ちよく歩けそう。

道中、ちょうどよく槍ヶ岳方面が開けていて腰掛けられる場所があったので、ここで日の出を待つことに。

日が登ると一気に明るくなりました。
最終日にようやく、雲一つない青空が頭上に広がりました。

これまで歩いてきた道を振り返りながら。
9月の半ば、草も色づき始めて山には秋の足音が聞こえてきました。

あと1日早くこの空が広がっていたらなぁ……と、思わずにはいられない。

というわけで双六岳へ。
ここまでは割と体力の消耗なく登ることができました。

双六岳は巻いていくこともできますが、景色がいいのでちゃんとピークを踏んでおきたいですね。
双六山荘から近いこともあって人気があり、多くのハイカーで賑わっていました。

朝6〜7時の山頂。今日も気持ちよく歩けそうです。

手前に見えるのは抜戸岳と笠ヶ岳、最奥には乗鞍岳、その前にあるのは焼岳……かな?

だだっ広い稜線を渡って、それを降りれば双六山荘です。

というわけで、降りてきました。双六山荘です。
……とあっさり書いていますが、標高差は300mくらいありますね。

今日は暑くなりそうなので、給水はしっかりと。

向こうに見える弓折岳へと登り返して、そこから小池新道を一気に降りれば新穂高温泉。
いよいよ下界が近づいてきたなぁ。

烏帽子岳からここまで、何度か道中でお会いした方と再会&お別れして下山ルートへ。
結構早いペースで歩かれる方なので、どこまで行くのか聞いたところ、なんと裏銀座から槍ヶ岳を経由して表銀座も縦走するのだとか。
凄いです、私にはそこまでの体力はないですね……(笑

弓折岳へ続く稜線に取り付きました。
槍ヶ岳のシルエットが青空に映えますね。

弓折岳への稜線は、森林限界を歩く最後の時間。
裏銀座の三日間と森林限界の開けた景色を名残惜しく感じつつ、下界のお風呂に入りたい欲も湧いてきます。

槍と穂高の険しい姿。この高さから眺めるのも、今回はこれが最後。

弓折乗越までやってまいりました。
ここから小池新道を一気に降りていきます。

足元に見えるのは最後のオアシス、鏡平山荘。
ガッと降りますね……。

小池新道を降りるための力を取り戻すべく、鏡平山荘で長めの休憩。
いや、このカレーライスは回避不可能ですって……。
かき氷やフロートなど、他にも目移りするメニューがたくさんありますが、コーラだけで我慢。
今回は水場がなくここまでかなり水に気を遣って歩いてきたので、ここで食べたご飯は本当に美味しかったです。

それでは小池新道、降りますか!

徐々に木々の背が高くなっていって、降りているという実感があります。

……が、そういう気分を味わえるのも最初だけ。
小池新道はこんな感じの景色が延々続きつつ、ガレた道を延々降っていくのでかなり飽きる。
降りても降りても同じような景色が続くので、結構精神的にはキツいかも。

ガードレールが見えた……下界だ!!

中央のピークから一気に降りてきたんですよね。
標高差約800m。一時間半くらいの間でしたが、無限に続くかと思いました。

わさび平でトイレ休憩。
ここで野菜が冷やされているのがなかなかニクい、絶対見たら欲しくなりますよね。

わさび平から一時間歩いて新穂高温泉へ。
長い長い裏銀座縦走の山旅が終わりました。
いや、本当に長かったですね。

かなり歩いたなぁ……と思ったのですが、ログを見てみると行動距離は前年の薬師岳〜黒部五郎岳には僅かに及ばない約41km。
そう考えると薬師岳〜黒部五郎岳は本当に長いんですね。

今回は林道歩きも含んだ距離ですが、薬師岳〜黒部五郎岳では林道歩きもありませんから。

そうして新穂高温泉で温泉に入ったあと、昼食+祝杯ビールを飲みながら帰りのバスを待ちます。
事前にあまりちゃんと調べていなかったのですが、新穂高温泉から公共交通機関で都心に帰ろうとすると、結構面倒くさいんですね……(笑

感想

雲は多めでしたが、スケールの大きい山旅のできた3日間でした。
最終日までしっかりピークを踏むような登山はこれが初めてだと思います。
憧れの裏銀座を縦走できて、2023年も一生のうちに一度は歩きたい稜線の一つをしっかり踏破できた年になりました。

2023年はこの裏銀座縦走を最後に夏山登山を終え、いよいよ紅葉シーズンが始まります。
もう少しいろいろ歩きたいなぁとは思うのですが、連休でもない週末に遠征や泊まり登山はキツいんですよね……私ももう若くない(笑

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