立山:雷鳥沢キャンプ場から霊峰を巡る
2019年09月01日2023年09月30日登山:日本アルプス
登山情報
GPSログ
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コース情報
- 標高
3015m
- 標高差
749.0m
- 累積標高(登り)
1067m
- 累積標高(下り)
1074m
- 行動距離
13.17km
- 行動時間
11時間06分
- コース定数
35.2
アクセス
往路、復路ともに:~JR富山駅 > 富山地方鉄道 立山駅 > 立山黒部貫光立山ケーブルカー 美女平駅 > 立山高原バス 室堂BS
というわけで、今年の夏はあまり山に登りませんでしたが、お盆の時期に2日ほどチャンスがあったので行ってまいりました。
北アルプスの最北端、立山です。
今年の初頭にはまったく候補に入れていなかった立山連峰。
とにかくお金が掛かるというイメージがあったので敬遠していましたが、日本中の山々の天気予報を見渡して、辛うじて好天が期待できそうな山だったので行ってみることに。
1日目:室堂〜雷鳥沢キャンプ場
7月に続き天気の安定しない今年の夏。後半は安定してきましたが、前半はイマイチな空模様が続いたような。
そんな中で可能性を感じた立山に、朝イチの新幹線で向かいます。
お盆真っ只中で席は満席。予約などしない、天気予報を見て行く山を決めるような人間に座る席などありません。
北陸新幹線は場合によっては全席指定なので、ここは立席特急券で片道約2時間を耐え抜きます。
続いて富山駅から立山駅へ。今回は一気に室堂までお金の力で登ってしまうので、ここで往復の切符を買っておきます。
立山からはケーブルカーで美女平を経由して、さらにバスで室堂へ。新幹線もそうですが、こういったところで移動費を使うのが立山の泣き所かも。
そうして辿り着いた室堂は完全に観光地でした。
山装備の人が1/3くらい、あとは室堂のみを散策する観光客でしょうか。宿泊地が豊富なこともあって、登山装備でも軽装な人が多いです。
そんな中重量級のザックを担いで雷鳥沢キャンプ場へ向かう山の民。劔を目指すのか、あるいはその帰りか。ヘルメットを括り付けている人もちらほらと。
雪山のピッケルと夏山のヘルメットは、何というか存在感がありますね。歴戦の猛者の風格。
室堂から雷鳥沢キャンプ場までの道でも展望は抜群。
見渡す限り、立山連峰の美しい稜線が続いています。いや、絶景ですね。
時々火山性のガスの臭いを感じながら、そして8月の強い日差しに射抜かれながら、まずは本日の宿泊地へと向かいます。
観光地だけあって道はよく整備されていて、スニーカーでも問題なし。
でも、意外と歩くんです。何気に距離は2km、標高差は(下りメインですが)150mくらいあったりします。
というわけで雷鳥沢キャンプ場へ。
朝イチの電車で来たはずですが、既にほぼ満席。さすがにこの時期は混むなんてもんじゃないですね。
何とかスペースを確保してテント設営。ほとんど通路沿いのような場所ですが、立山の勇姿は遮るものなし。まぁ立地は悪くはないんじゃないでしょうか。
1日目:雷鳥沢キャンプ場周辺
設営後は軽く腹ごしらえをしたのち、一旦室堂方面まで戻ってみくりが池温泉へ。
さすが観光地というか何というか、ここ、山の中なのに立派な温泉です。しかもシャンプーもボディソープも使える。
お風呂に入れるだけでもかなり良いのに、身体もしっかり洗えるなんて最高ですね。
ですが雷鳥沢キャンプ場からは少し歩く+登ることになります。私はサンダルで行っちゃいましたが、すれ違う人の視線が痛い。
お風呂の後は何もせずまったりと。日が傾くのを眺めながらのんびりしていました。
片道30分くらいなので、あの稜線にちょっと登ってみようかなぁとも思っていたのですが、テント張ってお風呂入ると、もう動く気が起きなくなりますね……。
そうして特にカロリーを消費することもなく夕飯に。今回はカレーをいただきます。
アマノフーズの畑のカレー。燕岳〜常念岳縦走の時に、登る前の前泊の日に食べたらめっちゃ美味くて感動したもの。アルファ米でも文句なしに美味いと言えるレベルで、ちょっと値段は張りますがリピートしたいと思っていたので再トライ。
そしてビール。よりにもよって、それ持ってくるかっていう。
夏の山にまる一日、ろくに冷やせない状態で持っていくとなると、こういう度数の高いビールじゃないと厳しいですね。
最高の夕飯と最高のビールを満喫しつつ、立山のアーベントロートを特等席で眺めていたら1日が終わりました。
……山登ってないっすね。
2日目:雷鳥沢キャンプ場〜別山南峰
翌日。少し早めに起きてテントから顔を出したら、満点の星空。
天の川までばっちり見えます。
まだまだ星の撮り方はよくわかってないですが、三脚も持ち出して何枚か撮影。
やっぱテント泊はこれをやらないとね。
というわけで星空を堪能したら、荷物をまとめていざ登山開始。
稜線で日の出を迎えたいので朝3時前の出発。雷鳥沢を登って別山乗越を目指します。
テン場からは結構険しそうに見えましたが、実際に登ってみるとそうでもない。ただ、真っ暗なので景色に変化はありません。
夜明け前の別山乗越、剱御前小舎で少し休憩。
この時間から既に、劔の頂に登ろうという人の列が見えました。
いつかは私も行くんでしょうか……?
別山乗越から先に少し進んで、別山南峰にて日の出待ち。
三脚を立ててタイムラプスを撮りながら、ゆっくり朝食タイム。
この時間からこちら側まで来る人はそんなに多くないかなぁと思っていたのですが、何組かのパーティやソロの方とお会いしました。
ここまで来た人はほとんどみんな北峰に行くようですが、今回はお預け。
といっても片道10分くらい。南峰から見る限り、すぐに行けそうな距離ではあります。
別山からは剱岳がよく見えます。
朝の日差しに照らされて、明暗のくっきり分かれた針のような山容が雄々しい。
別山南峰〜雄山
タイムラプスで日の出を撮り、少し長めに休んでからの出発です。
次に目指すは真砂岳。一旦下ってから登り返す形。剥き出しの山肌の見える、待望の稜線歩きのスタートですね。
稜線から見える、まだ目覚め前の雷鳥沢キャンプ場。
そしてこれから登る真砂岳。
見た目ほどタフな道ではなかったような記憶がありますが、あの岩は迂回して行ったんでしたっけ……?
そして振り返ると別山が。
別山から真砂岳までの間、一番低いところで約100mくらい下っているようです。
雪渓と北アルプス。雪渓といえば白馬岳ですが、ここ立山にも雪渓はありました。
というか、雪渓どころか氷河まである山なんですよね、立山って。
真砂岳の雪渓。なかなか壮大な光景です。
そしてなかなか容赦のない稜線。
こちらも見た目ほどではありませんでしたが、酸素の薄さがなかなか厳しい。
ベースキャンプ型のテント泊のはずなのに、三脚とか色々担いでいて荷物の重さも響きます。
……というわけで登ってまいりました、富士ノ折立。標高2999m、あの剱岳と同じ高さです。
といいつつ山頂はコース上ではなく、この岩を登った先にあります。
チャレンジできないこともなさそうですが、ここのピークにそこまで思い入れがあったわけでもなく、山頂は見上げるだけにして先に進むことに。
目指すはこの先にあるトイレ……じゃなくて大汝山。
立山の稜線に取り付いたので、ここから先は割と気楽に歩けるんじゃないかと。
山頂のすぐ下にある大汝休憩所までは、わずか15分ほどで着きました。
トイレ休憩にと入って行った友人を待ってのんびり休憩……していたら、あるものを見つけてしまいました。
雪渓の雪で冷やしたジュース。なんて粋なんだ、素晴らしすぎる。しかもオレンジジュース!
夏山ではなぜかこう、柑橘系のフルーツが欲しくなるんです。
果物の酸味と甘みは疲れた身体に効きますね。
休憩所から約2分ほど登ったところが今回の最高地点、大汝山の山頂です。
見晴らしはとても良いのですが、ごつごつしていてあまり広くないため、ぐるっと見渡して写真を撮ったら山頂を離れることに。
山頂でお休み中の奥様と、あれは黒部ダムですかね?多分そうでしょうね、なんて話をしたりして。
アルプスの向こう側には雲海が広がっていて、遠くに南アルプスや八ヶ岳が顔を覗かせています。
一応富士山も……見えることは見えますが。
大汝山のあとは雄山へ。
ここもさほど距離はありませんが、道がやや狭く、またこの時間になると雄山側から登ってきた方とのすれ違いが発生するので、その都度道を譲り合いながら歩くことになります。
稜線はザレ気味で、少し踏み外すと滑落してしまいそう。油断は禁物です。
雄山から見た室堂方面。
こうして見ると、観光地として人気が出るのも納得の広さですね。
雄山の山頂、雄山神社の立山頂上峰本社でこれからの山歩きの安全を祈願して頂いたり。
そこでお神酒まで頂くとは思いませんでした。しかも本物のアルコール、下戸の方はご注意を(笑
そして、山頂への道が意外と狭いためか、あまり長居できず追い返されます。まぁ仕方ないんでしょうけどね、あんまり風情はありません。
山頂から少し離れたところにゆっくり休めるところがあるので、休憩はこちらで。
まぁ富士ノ折立からここまで、厳しい登りもほとんどないので疲れはしないと思いますが。
こちらの雪渓が御前沢雪渓でしょうか。
世界最南端の、日本唯一の氷河のひとつ。
室堂に着いてからあまり方向感覚がなくてわからないのですが……、こちらが北アルプスの山々でしょうか。
印象的な稜線が見えます。歩いたら楽しそう!
……しかし我々は降るのです。
なぜならこの日は、夜に高井戸の某所へ行かなければなりません。
オムニポロのココナッツアガメムノンが私を呼んでいます。
雄山〜母恋坂を経て室堂
というわけで、降りてきました。
ルートとしては、一ノ越から母恋坂を経由して雷鳥沢キャンプ場へ。ほとんど写真は撮らなかったので載せていませんが、平坦に見える道ながらもなかなかガレていて、慣れていないと歩くのに苦戦しそう。
母恋坂の道はこの時期の立山とは思えないほど人通りが少なく、静かな道を歩くことができました。
下から見上げる立山連邦もなかなか美しくて、どこに向けてもいい絵が撮れます。
そして、今回は標準と広角しか持ってきていなかったので諦めて撮りませんでしたが、今回も雷鳥親子に会うことができました。
この時期は天気の良い時でも子供が警戒心なく遊びに出てしまうのでしょうか、前日も色々なところで親子を見かけました。
そうとわかっていれば、24-105mmを持ってきたんですけどね。いや、失敗。
雷鳥沢キャンプ場に着いたらテントを片付けて室堂へ。このあたりは結構駆け足でしたね。
帰り道にキャンプ場の手前、少し登ったところから見下ろして一枚。
超広角ゆえの誇張はありますが、結構標高差ありますね。余力が残っていないと、テントを担いでここを登るのは結構キツいはず。
最後に池越しに立山の姿を写して、この日はおしまい。
帰りの新幹線は無事座席もゲットして、無事高井戸で祝杯を上げることができました。
締めの一言
今回は夜に馴染みのビアバーの周年イベントを控えていて、二日目がやや駆け足だったのが少し心残り。
個人的にはやっぱり、山はゆっくり登るのが好きです。
あとはレンズチョイスを間違えたなぁ、と。それが一番痛かった。
ここぞという時のための超広角が、結局メインレンズになってしまいました。
高山植物や雷鳥など、被写体はたくさんあったのですが。どれも標準〜準広角あたりで狙うのはちょっと難しい。
高い山では35mm付近は意外と出番がなく、むしろ中望遠が欲しくなるタイミングの方があるくらい。
後から思えばレンズケースも微妙にチョイスを間違えていて、行動中のレンズ交換がほぼ不可能だったのも反省点でした。
最近は実験的に、荷物の軽量化や省スペース化を目論んでモンベルのプロテクションアクアペルをカメラバッグとレンズケースとして使っていたのですが、この構成だとザックを下ろさないとレンズ交換ができません。
というわけで意外と反省点の多い登山ではありましたが、ひとつ収穫も。
それは、立山から見た奥大日岳の稜線がとても美しかったこと。
岩や砂が多めの稜線よりもハイマツに囲まれた稜線が好きな私としては、次の機会があれば立山や剱岳よりも、奥大日岳を目指してしまうことでしょう!
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