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天狗岳〜硫黄岳:黒百合ヒュッテから八ヶ岳の稜線を歩く

2019年10月02日2023年09月30日登山:八ヶ岳

登山情報

GPSログ

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コース情報

標高

2760m

標高差

910.0m

累積標高(登り)

1362m

累積標高(下り)

1772m

行動距離

21.62km

行動時間

12時間46分

コース定数

44.1

アクセス

往路:~JR中央本線 茅野駅 > アルピコ交通 奥蓼科渋の湯線
復路:アルピコ交通 美濃戸口線 > JR中央本線 茅野駅~
9月に入り暑さも少し和らいで、いよいよテント泊シーズンも本格的に始動。 しかし9月は関東では梅雨以上に雨の多い季節、あまり期待せずにいきたいところ。

今年は天気さえ良ければ前半に尾瀬を歩いて、後半に北岳〜農鳥岳の縦走をと考えていたのですが、いざ連休直前になってプラン変更。
9月前半の連休の天気予報があまりに良いので、このチャンスを逃さずテント泊することにしました。

ほとんど準備なしで挑むことになるので、前泊せずに無理なく歩けて、それでいて森林限界も越えられる山というのが条件に。
天候にもよりますが、そうなると関東からのアクセスの良い八ヶ岳周辺が候補に上がりますね。

というわけで今回は、夏の連休でも選択肢の一つに上がっていた天狗岳に登ることにしました。
茅野駅から朝イチのバスに乗って、渋の湯から黒百合ヒュッテを経由すれば、前泊なしの一泊二日でも問題なく歩けそうです。
余力があれば天狗岳だけでなく、硫黄岳まで縦走もできそうな。

渋の湯〜黒百合ヒュッテ

さすがの連休初日、中央線の特急は案の定席の空きなどなく、立ち席特急券で茅野に向かいます。
そして駅に着いたら真っ先にバスの乗車券を購入。乗車券売り場は結構混むので、のんびりしているとバスの出発に間に合いませんから。
バス自体はそれほど混雑していなかったので、座席を確保して渋の湯までしっかり寝ることに。

終点の渋の湯BSで下車したら、建物の横から登山口へと進みます。
ここから黒百合ヒュッテまでトイレはないので、バス停から少し戻ったところにあるトイレで用を足してから進んだ方がいいでしょう。

登山道に入ると、早速八ヶ岳らしい苔に包まれます。
ここから黒百合ヒュッテまで、ひたすら苔の道の連続。樹林帯を進むので、夏の日差しはうまい具合に遮られて歩きやすいかも。

前回の反省を踏まえてメインのレンズは24-105mm。
大正解ですね。スナップ向きの35mm付近と、苔を撮りたい時の中望遠をレンズ交換なしで切り替えられます。

ひたすら登りが続きますが、急登というほどの登りではないのでテント泊装備でもあんまりつらくない。
何かしら興味を持ってはカメラを構えて、の繰り返しでのんびり進みます。
今日はテン場まで着けば問題なし。その後は特に予定もないので急がなくてもいいかな、と。
設営する場所がなくなったらちょっと困りますけどね。

穏やかな傾斜をのんびり歩いて約2時間。苔の山道も終わりが見えてきました。
八ヶ岳の個性的な苔の道を歩くのは楽しいですが、足を滑らせそうなイメージがあるので神経を使います。

木道を見かけると、あぁ小屋が近づいてきたんだなって思いますよね。

というわけでやってきました、黒百合ヒュッテ。
まだ時刻は12時を回ったところですが、とりあえず本日はここまで。

黒百合ヒュッテ〜中山〜黒百合ヒュッテ

受付を済ませて、まだ残っているスペースにテントを設営したら、昼食を摂りながら午後の予定について考えてみます。
翌日は日の出を山頂で迎えたい。夜のうちに起きることになるので、就寝は早めに。
そうなると天狗岳まで行くのはちょっと厳しそうなので、1時間くらいで登れそうな、小屋の裏手にある中山に登ってみようかと。

というわけで長めの休憩ののち、最低限の荷物をアタックザックに詰めて出発します。

黒百合ヒュッテから少し歩いた先にある中山峠を経由して山頂を目指します。
序盤だけ少しガレた道を歩きますが、その後は平坦で歩きやすい尾根道。

なかなか風情のある尾根道。
低山の尾根道とも、高山帯の稜線とも違った雰囲気。
亜高山帯ならでは、という感じがしますね。

時々ぬかるんでいる場所もありましたが、こんな感じで木道が整備されているので非常に歩きやすい。

最後にちょこっとだけガレ場を歩いて山頂へ。
ですが中山自体は展望ゼロ、ちょこんと標識が立っているだけで山頂感は全くありません。

景色のいいところに行きたいなぁと思い、少し先にある中山展望台へ。
ここだけごろごろとした岩の大地が広がっています。蓼科山とか、編笠山あたりがこんな雰囲気でしょうか。

生憎、天狗岳の方はガスっていて山頂は見えず。
明日は晴れるといいなぁ、なんて思いながら一枚撮ってみたり。

街の方は晴れてるっぽいんですけどね。
まぁ、今日はこのあたりで引き返すのが良いかな。

暗くなる前に下山することにします。
山頂付近は分厚い雲に覆われていて薄暗い感じでしたが、下界の方はまだ明るい。

先ほども歩いたなだらかな尾根道を再び歩きます。
まっすぐ伸びる道が良い雰囲気なので、ゆっくり歩きながら撮影メインで。

中山峠から、少し気になって天狗岳方面を歩いてみることにしました。
翌日、このあたりはナイトハイクになるので事前偵察。
ガレた登りになるので気をつけた方が良さそうですね。でも、崖スレスレを歩くような感じではなさそうなので少し安心。

山頂が見えそうな、開けた場所に出たので今日はここまで。
この先も岩が多そうなので、明日は注意して登ることにしよう。

テン場に戻ります。
談笑する声が聞こえてくるとほっとしますね。

黒百合ヒュッテに帰ってきました。
夕飯の準備の始まった小屋でビールを一杯。山でジョッキビールはなかなか豪快です。
標高2400m、何気に立山のテン場よりも標高は高いので、アルコールが回りやすい。
ウィスキーも持ってきていましたが、ビールだけで充分な感じになったので日没とともにシュラフの中に潜り込みました。

黒百合ヒュッテ〜天狗岳〜根石岳

翌日はまだ日も登らない朝の3時にテントを撤収、コースタイムで日の出までに山頂へ到着できる時刻に出発します。

明け方と呼べるほど明るくもなっていないので、ヘッドライトの明かりだけを頼りに登ります。
途中、ガレている場所もあったりしてなかなかスリリングでしたが、全体的に難易度は低い方かと。

天狗の鼻に差し掛かったあたりで、ようやく東の空が明るくなってきました。
ここで休憩して日の出を待とうかとも思いましたが、山頂はもうすぐだろうということで少し景色を眺めたら出発。

目標にしていた5時頃に東天狗岳の山頂へ到着です。
まだ日の出までは時間があったので、タイムラプス用にカメラをセットしてようやく一息。

心配していた天気の方もなかなか悪くなさそう。
前回の立山ではモルゲンロートと呼べるような鮮やかな色にはならなかったので、今回こそはと祈りながら日の出を待ちつつ朝ごはん。

日の出。雲海の向こうから登ってくる朝日をしっかりと捉えることができました。
動画の方はまだ現像もしてないですが、こんな感じなので期待できそうです。

すっかり明るくなった頃に東天狗岳から一度降りて、隣の西天狗岳へと向かいます。
多少ガレてはいますが、20分くらいで登れる距離なので割と余裕。

西天狗岳はスルーする人も結構多いと聞きますが、せっかく来たので登っておかないと。

立てられたザックがいい感じの雰囲気。

南八ヶ岳を一望。
今日はほとんど雲もなくて絶好の登山日和になりそうです。
タイムラプスを撮るには、多少雲があるくらいの方が良いんですけどね。

こちらの山頂でも景色を堪能したところで東天狗岳に戻ります。

雲のないまっさらな空に、夏同然の強い日差し。
今日はなかなか暑くなりそうです。

再び東天狗岳から。晴れ始めた雲海がなかなか壮大。

天狗岳に登った後は黒百合ヒュッテへと戻ることも考えていましたが、割と早い時間に登ることができたので、さらに足を伸ばして硫黄岳へと向かうことにします。

東天狗岳から南へ向かうには、まず山頂直下の鎖場を越える必要があります。
テント泊装備を担いで鎖場は大丈夫かなぁという不安もありましたが、難易度はかなり低いので問題なし。
地蔵尾根や横岳の蟹の横這いと比べたら全然余裕です。
そういえば去年も燕岳〜常念岳間で、テント背負って鎖場通過してましたね。

高度感はこっちの鉄橋の方が上かも。
斜めになってるし、両側が切り立ってるし。

難所を越えたらガレ気味の稜線歩き。
このあたり、登りだとちょっとしんどそうですが、降る分にはなかなか気持ちがいいです。

そして見えてくるのは隣の根石岳。
山頂に向かってまっすぐ登山道が伸びているのが印象的でした。
今回の山行の中では、この景色が一番のお気に入り。

でも、まぁ登山なんで。
実際に登ってみるとこんな感じで甘くはないわけですよ。
酸素は薄いし荷物は重いので、低山のように軽々とは登れません。

そうしてあまり広くはない根石岳の山頂に登って、振り返ってみるとこんな景色。
こちらのピークもまたハイマツに囲まれた稜線の美しさを堪能できます。
赤岳や北横岳のようなメジャーなピークとも一味違った魅力が、天狗岳〜根石岳間にはある気がしますね。

東天狗と西天狗。その合間からちょこんと顔を覗かせているのが蓼科山かな?
私の住んでいる場所からの日帰りはちょっと難しいですが、良さそうなテン泊コースを見つけたのでいずれ挑戦してみたいですね。

そしてこれから向かう硫黄岳……って、なんか遠くないですか。

根石岳〜硫黄岳

気を取り直して硫黄岳へと向かいます。
水場もトイレもある根石岳山荘は今回はスルー。まだ行けるだろうと素通り。

そのまま根石岳のお隣のピーク、箕冠山へ。
こちらの山頂は完全に樹林帯エリアですね。

そこからしばらく樹林帯の尾根道を下っていきます。
これから今日の最高峰である硫黄岳に登るというのに、ちょっと心配になるくらい。

150mほど下って夏沢峠へ。
硫黄岳はもう、見上げなければならないほど遥か上の方にいってしまいました。
近くに来ると結構標高差を感じますね……。

このあたりで大休憩。
電波あるし。今、FGOのイベント中じゃし。

すっかり体力も回復したところで最後の登りに挑みます。
横岳から登った時はめっちゃ楽な感じでしたが、こちらからは結構頑張って登らないといけません。

でも朝日に照らされる苔がなかなか綺麗なので文句なし。
この景色が一種の清涼剤になってくれる……はず。

そうやって歩いていると、気がつけば樹林帯を抜けてガレ場エリアに突入していました。
いつの間にか森林限界超えてますね。

なんかケルンも見えてきたりして。

振り返ればもう、天狗岳があんなに遠くに。
結構登ってたみたいです。

ベーコンみたいな爆裂火口を横目に見ることができれば、もう山頂はすぐそこに。

着きました、本日最高峰にして本日最後のピーク。硫黄岳です。
まさか八ヶ岳で最初に二度目の登頂を果たすのが硫黄岳になろうとは。

硫黄岳〜美濃戸口

山頂はやたら広くて山っぽくないので、ハイマツの茂る隅の方に陣取ってザックを降ろします。

せっかくズームレンズで来たので、横岳と赤岳をアップで捉えてみる。
赤岳、また行きたいなぁ……。

横岳と硫黄岳を繋ぐ稜線も。
ここもまた、八ヶ岳最高峰と横岳の難所を越えたあとのビクトリーロードって感じで良いですよね。

降ろしたザックを転がして、赤岳と一緒に一枚。
なんか登山雑誌の表紙みたい。

しばらく景色を堪能したら、赤岳鉱泉方面へと下ります。
バスで帰りたいので美濃戸口に降りますね。

赤岩の頭から硫黄岳。
ここ、結構有名な撮影スポットなのでしょうか。国産ガレージメーカーの宣伝写真でよく見かけます。
横から見ると真っ平らな感じの硫黄岳ですが、こっちから見ると結構風格ある感じに見えるんですよね。

前日の夜に食べたアルファ米カレーがあんまり美味しくなかったので、昼食はしっかり美味いのを食べたいという思いで赤岳鉱泉へと向かいます。
もう結構歩いたのに全然力が落ちない。完全に食欲を糧として行動してますね。

こんな階段あったっけ?
去年来たばっかりなんですが、もうだいぶ忘れかけてます。

沢まで来れば、小屋まであともう一息。
ふと思い立って高速シャッターとかチャレンジしてみましたが、なかなか良い感じの飛沫が撮れません。
数ショット撮って諦めてるようじゃダメですか。

というわけで食欲だけで赤岳鉱泉までやってまいりました。
夜はステーキとか出ますが、そういえば昼食はレトルトでしたね。

でも問題なし!ちゃんと炊けてるご飯は美味しいですね。
値段も割とリーズナブル。

正午を回ってだんだん雲が出てきました。
翌日は雨予報でしたが、さすが三連休。テン場はご覧の通りの混雑っぷりです。

あっという間にカレーを平らげて、美濃戸口を目指します。
ここから先はほとんど平地みたいなものですが、ここからが長いんですよね……。

この木道を見ると赤岳鉱泉来たなぁって感じがします。

トリカブトもまだまだ咲いていました。
こうやって花も撮れるのが24-105mm最大の強みですね。

黙々と歩いて美濃戸山荘までやってまいりました。
まだまだここからコースタイムでは1時間くらいありますが、ザックを降ろしてトイレ休憩。
喉も渇いたので牛乳で潤していたら……、14時台のバスに乗れないと後が面倒なことがわかって、そこから追い上げのラストスパート。

14時台が終バスかと思ったら、実際には土日なので16時台があったり、臨時便も出たりしていましたが、そんなことはつゆ知らず。
コースタイムの6割ほどで美濃戸口へと降りてまいりました。

本当ならここでお風呂に入ってから帰りたかったのですが、到着してすぐにバスが来たので乗り込むことに。
さすがに汗臭いのは嫌なので、茅野の駅前でお風呂に入ってから帰りました。
連休なので特急も混んでるかなと思いきや、少し待てば臨時便の席を確保できたので、かなり気楽に帰ることができました。

締めの一言

メジャーなピークに比べるとやや控えめな知名度の天狗岳。
行ってみたいとは思っていたものの、正直な所さほど期待してはいませんでしたが、根石岳付近の稜線歩きがかなり楽しかったので、個人的には赤岳に次いで二番目に好きなコースになりました。

美濃戸口まではそれなりに長い距離なので、テントを背負って歩くにはちょっと厳しいかもしれませんが。今回のように朝早くから出発すれば、黒百合ヒュッテから根石岳までをピストンすることも不可能ではないかもしれません。

赤岳や北横岳に登ったら、次はこのあたりを狙ってみるのもなかなか良さそうですよ。

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