【北関東】奥久慈男体山:茨城が誇る怒涛の鎖場ラッシュな名峰
2020年12月24日2023年09月30日登山:北関東
登山情報
GPSログ
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コース情報
- 標高
654m
- 標高差
586.0m
- 累積標高(登り)
720m
- 累積標高(下り)
722m
- 行動距離
12.43km
- 行動時間
3時間54分
- コース定数
18.4
アクセス
往路、復路ともに:〜JR水郡線 西金駅
関東の鎖場の多い山として探すと、その中の一座として挙がることも多い山です。
しかし人気の山域ではないのでレポートは少なく、あまり情報も多くないまま登ってみたところ、私を待っていたのは茨城のマッターホルンと言っても差し支えない怒涛の鎖場ラッシュでした。
房総のマッターホルンなる伊予ガ岳がありますが、あちらは鎖場を期待して登るとちょっとガッカリスポット。
でもこちらは、鎖場好きなら充分に満足できることでしょう。
むしろ、鎖場に慣れてない人にはお勧めできないくらいのハードな山です。
西金駅〜大円地山荘
というわけでやって来たのはJR水郡線の西金駅。
さいがねと読みます。車掌さんにニシカネといったらサイガネですねと訂正された。
でも家に帰って、最寄駅で精算したら駅名読めねえと言われました。
一応、同じJRなんですが(笑
午前9時前の、静かな奥久慈の道。
霜の降りた草木が気温の低さを物語っています。
まだこの時間は陽が当たらず、冬らしい厳しい寒さが肌に刺さります。
そんな西金駅から登山口までは、まさに田舎道といった雰囲気の車道を1時間ほど歩くことになります。
しばらく歩くと奥久慈の岩峰が見えてきてテンションが上がります。
登山口付近から、奥久慈男体山の全貌が見えてきました。
見事な岩山。本当にこれ登れるんだろうか?
大円地山荘〜奥久慈男体山山頂
鎖古いから何かあっても知らないよ、というなかなかパンチの効いた看板に怯みつつも、いや今日はこれを登りに来たのだと自分を奮い立たせて健脚コースへ。
健脚コースって言ってもここから山頂までは0.8kmしかありません。
コースタイムは1時間半ありますけどね。……つまり、そういうことです。
序盤は穏やかですよ。ええ。
その先に待っている道の険しさを隠すかのように。
最初の鎖場は、怯むほどのものでもない。
鎖がなくても余裕で登れます。
もう紅葉のシーズンは終わってしまったのですが、その名残に出会うことができました。
これはもうちょっと早く来たら、なかなか良いものが見られたのかも。
そんな椛の木を横切って、この看板が見えたあたりから奥久慈男体山の本当の姿に出会うことができます。
そう、鎖場です。
こんな感じのトラバース。切れ落ちた斜面を横切るわけですが、このあたりはまだ足場もしっかりしていて恐怖感はありません。
また鎖場です。
落ち葉がちょっと滑りそうだなぁとか、岩がちょっとつるつるしてるなぁとか、そういう感想はありますが、まだ冷静さを保っていられるレベル。
ええ、また鎖場です。
またっていうか途切れないんです。常に鎖があるという感じ。
最初の難関はこれを登ったあとくらいのところで、尾根に取り付く最後のひと登りはなかなか高度感もありました。
尾根に取り付いて、見晴らしの良いところにやってきました。
遮るものはないですね。茨城の山って、山の上から見ても真っ平らなのであんまり面白みはないんですが。
……ちなみに、その見晴らしの良いところに出ると失敗なんですよ。道を間違えてる。
この写真の先がさきほど立っていた場所なんですが、本来はその手前。この写真を撮っている私がいるあたりに出ないといけないんです。
気づかなかったんですけど、鎖場の中に分岐があったんですね。分岐を間違えると、この写真に写っている岩を乗り越えないといけない。
写真で見ると大したことなさそうに見えますけど、両側は切れ落ちてます。
そしてこの奥久慈男体山の岩、小石をコンクリで固めたような質感で、細かい足場はあるけど明らかにこれ滑るだろっていう感触。
何というか、足場がちょっと嫌らしい感じなんですよ。
もちろんここから先も鎖場は続きます。
というか、尾根道に出たらそこから山頂付近まではずっと鎖場が続くと思ってください。
行ってみればわかりますが、誇張でもなんでもありません。
そこから先の写真は割愛。っつうか撮ってる余裕がありませんでした。
技術的なものが求められる場面はなく、難易度自体はそこまで高くないと思うんですが、ひたすら鎖場が続きます。
初回は体力的なものよりも、精神的な疲労が大きいと思います。
最後にロープ場とかもありますが、そちらは高度感も全然ないので、ここまで来ると平地みたいなもんです。
そんなわけでやってまいりました、奥久慈男体山の山頂です。
そんなに広くはないですが、腰掛けられるところはあるので、人が多くなければランチくらいはできるでしょう。
健脚ルート側の山頂手前に屋根とベンチのある休憩スペースもあるので、寛ぎたければそちらで休むのもアリかと。
奥久慈男体山〜西金駅
山頂はこんな感じで、なかなかの高度感。
高所恐怖症の人には多分無理です。
さくっとランチを済ませて下山。
さすがにあの斜面を五体満足で下山できる気はあんまりしないので、帰り道は一般コースを選びます。
スカイツリーの高さがどうのって、関東の山にはよくありますね。
まぁスカイツリーには鎖場はないんですが。
足元に見えるのは、登山口のある大円地山荘付近かな?
近いようで遠い。さすがに、90度の斜面を下山するのは嫌です。
振り返って山頂付近を見てみれば、こんな感じ。
一般コースとは言え、この断崖絶壁の縁を歩くんですよね。
一般コース自体はこんな感じで、なかなか気持ちのいい尾根歩きです。
両端が切れ落ちてるので、下を見たらヒェッてなりますけど。
ちょっと歩くと登り返しもありますが、このあたりまでくるとさすがに高度感もほとんどありません。
なんだかんだでこちら側のルートは、結構雰囲気のいい尾根道歩きが楽しめるコースです。
高いところが怖い人でも、こちらからなら登れると思う。
難所はないので、鎖場が苦手でも全然大丈夫。
難所と言える難所もなく、せいぜいこのロープくらいのもの。
アスレチックみたいなもので、こちら側は苦戦するところは皆無です。
なんか絶妙なバランスで成立しているケルンがあったので、思わず撮ってしまいました。
風が吹いただけで倒れてしまいそうだけど、これは今も残っているんでしょうか?
もう秋は終わって冬になってしまいましたが、紅葉の残滓がここに。
足元には椛の葉が広がっているので、紅葉の時期に歩けばかなり楽しめそうです。
来年はもうちょっと早く来よう。
難なく降りて、一般コースと健脚コースの分岐まで戻ってきました。
ここから先、また一般道を延々歩く必要はあるのですが、ここまでくればひと安心。
先にランチを食べてしまったので大円地山荘には寄らなかったのですが、写真を見る限りかなり美味しそうな天ぷらそば。
次に行くときは寄って帰りたいですね。
観光していくような場所もないので、さっさと駅に向かいます。
本数はあまり多くないので、時間が余るようだったら何かしら暇つぶしの手段を考えた方が良いかもしれません。
奥久慈男体山から袋田の滝まで歩くコースもあるのですが、それなりに長い距離を歩くことになるようです。
その場合、公共交通機関を使うのであれば、日が落ちるのが早い季節は避けた方が良いかもしれませんね。
振り返り
伊予ガ岳と同レベルのものを想像していた奥久慈男体山、完全に見誤りました。
個々の鎖場の難易度はそこまで高い方ではないと思いますが、鎖場の距離自体はかなり長いので、甘く見ていいものではありません。
尾根道に取り付く手前の鎖場が核心部ですが、そこから先も長い距離の鎖場が続きます。
精神的な負担が増すのは核心部が過ぎてからですが、そこまでくると降りるのは困難なので登るしかありません。
鎖場に慣れていない人や、高度感のある場所に慣れていない人を無闇に連れていっていい山ではないのではないかなと思います。
簡単でしたというレポも見掛けますが、力量には個人差があるもの。
鋸山はもちろん、伊豆ヶ岳や乾徳山あたりは先に登って、鎖場がどういうものかは最低限知ってから登った方が良いかなと思います。
一般コースもなかなか魅力的なので、そちら側をピストンするのも全然悪くないですね。
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